今年に入り、毎月UXのワークショップに参加するようになり、少しずつ目の付けどころがシャープになってます。たぶん。

UXやHCDは、なにもweb業界だけの話ではありません。
人が使うものを人が使いやすいように適切にデザインすることは、様々な業種のサービス提供者にとって必須と言っても過言ではないのです。

では、人が使いやすい適切なデザインをするために必要なこととは?
毎回言ってるような気がしますが、何度でも言います。
とにもかくにも、人を観察すること。

オブザベーション(観察法)ってなに?
実際の利用シーンを観察し、そこから得られた結果を分析し、問題を抽出すること。

アンケート(定量調査)でよくない?
UXのススメでも少し触れてますが、人は自分が何を求めているか、本質的な問題に気づいていないことが多いのです。
また、アンケートで困っていることないですか?なんて質問すると、困ってもいないことを作り出したり、5段階評価であれば、相手の気持ちを察して、「普通」や、「まぁまぁ良かった」なんて答えたりするのです。

そんなわけで、今回は、UX KYOTO#01 オブザベーション(観察法)のワークショップについてレポートします。

オブザベーション

やきそば
課題は、カップ焼きそば「ペヤング」を作って食べるところを観察・分析し、「ユーザーに新しい経験を与えるような斬新なパッケージを提案する」です。
関西人にはあまりぺヤングって馴染みのないですよね。
ダウンタウンの番組企画で、どでかいペヤング作ってるのを見て、今でこそ焼きそばという認識がありますが、四角く白いパッケージが怪しく見えていた頃もありました。

観察するための3つの注意点
1.問いを立てる
なぜこの人はこういう風にしているのだろうと「問い」を立て、観察の焦点化を行う。
2.仮説を検証しない
自分の考えた「仮説」や「予見」「思い込み」をもって臨まない。
3.その場で解釈しようとしない。
観察時は記録に徹し、解釈は観察後に行うつもりで見る。

理解とはおおむね願望に基づくものだ、とはよく言ったもので、自分の仮説の検証のために観察しては、誤った答えを導きかねません。観察はフラットな気持ちで臨みましょう。

私たちの身近にこれを実践している観察のプロがいます。
それがお医者さんです。

まず、患者の話を聞き、診察(観察)します。
その段階で、「あー、あなたがんですね。」なんてこと言わないですよね。
診察で問いを立て、それをもとに検査し、いろんな複合的な要因から診断(問題の抽出)を下します。
そして、診断結果にあわせて治療(改善)をします。
おなかが痛いからといって盲腸とは決めつけて手術されたんじゃたまりませんからね。

この3つの注意点を知っていれば、医者に行って、長いこと待たされて、診察して、検査して、結果は1週間後だと、ふざけんな、と思わなくなりますね。

さて、カップ焼きそばの観察に話を戻します。

観察は以下のメンバーで行います。

被験者
行動や思っていることを話しながら、カップ焼きそばを食べてもらいます。
モデレーター
被験者が黙ったりしたら、話して下さいね、と促します。
また、変わった行動をした時の質問役。
行動データ書き取り
被験者の行動を書き取ります。
発話データ書き取り
被験者が話したことを書き取ります。
投影者
見返すための動画で撮影します。

実食

実食
3名の被験者に実際にカップ焼きそばを食べてもらい、様子を観察しました。
ぺヤングを食べるのは初めて、もしくは数回しか食べたことがない人たちを被験者にしました。
というか、チームの全員がそうだったんですけど。

みなさん湯きり用の爪を起こすのに手こずってました。
そんなことより、私が個人的にビックリしたのが、3名とも指定時間を守らないこと。
麺は固めがすきだから、はやめに湯きりするってのは想定内だったんですけど、スマホのタイマーを立ち上げるのにどこだっけ?っと30秒ほど探したあと、きっちり指定時間の3分を計る人、時間さえ計らず、途中でふたをあけ、かき混ぜ、こんなもんだろ、と1分足らずで湯きりしちゃう人。

いかに自分が時間に縛られた生き方してるか愕然としました。

上位下位関係分析

上位下位関係分析
観察時に書き取った行動データや発話データ、インタビューから得られた事象をもとに、ユーザーの行為目標、さらにその上位の本質的要求を、上位下位の関係分析によって導きだします。
ようは、発見したエラーや問題点をブレストして、改善のヒントを探しだします。

被験者には、作業ステップにそって、心理曲線をひいてもらいます。
本当は、パッケージに対する心理曲線をひかないといけなかったんですが、食べることに対する気持ちも含めてしまったので、食べるところでグイっと上昇してますねw

湯きり用の爪起こしで、エラーが起きてましたが、観察後のインタビューでは、被験者は特に気にしていない様子でした。
心理曲線が顕著に下がっているのが、湯きりから食べはじめのあたり。
湯きり時に、湯きり口から麺がびろーんと飛び出してしまって、テンションが落ちた点。
かやくのキャベツと麺がなかなか混ざらなかった点。

このあたりに的を絞って改善点を探っていきますが、それは、また別のお話。
では、またUX KYOTO#02オブザベーション(後編)でお目にかかりましょう。

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