最近、やたら耳にするようになったUXという言葉。
UXデザイナーの求人数も急速に増え、各企業こぞって人材を求めているようです。
なにしろ、応募条件:UXデザインに興味がある人
なんていう求人もあったそうな。興味程度でいいのかよ。
そもそも、UXってなに?
彼女への誕生日プレゼントにプレゼント何欲しい?と問う彼は、マーケティングくん。
彼女の好みや行動から、これまでの傾向から少し外れるかもしれないけど、彼女にはこういうのも合うのでは?とプレゼントを選ぶ彼は、UXくん。
そんな感じです。
私がUXを理解するのにしっくりきた言葉をご紹介します。
橋をデザインするのではなく、川を渡るシステムを作れ。(オランダ フィリップス社)
これに通じるのが
もし私が顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう。(ヘンリー・フォード)
つまり、
多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ(スティーブ・ジョブズ)
ってことですね。
そんなこんなで、私も早々にUXデザインのスキルと思考を身につけて、一馬身リードだっ!とばかりに鼻息荒く、UX KOBE VOL.05「エスノグラフィ(フィールドワークと分析法)」のワークショップに参加してきました。
講師は、HCD-net理事の浅野智先生です。
上記で述べた言葉は、すべて浅野先生が講義で話された内容です。
他にもなるほどな話がたくさん聞けます。
UXを学びたい方にはおすすめです。
【エスノグラフィ(フィールドワークと分析法)】
今回のテーマは「人はなぜ食べるのか?」
食にはどういった価値があるかを調査します。
1グループ2チームに別れて、環境(場所)と対象を決めます。
私たちのグループは、大丸神戸店付近の家族連れとセンター街付近の若いカップルとしました。
対象が決まれば、カメラを持って、いざ出陣!
1.フィールドワーク
私は、若いカップル観察チームです。
土曜日の昼下がり、若いカップルのあとを付け回し、観光客を装いながら、彼らの行動を観察。
そしらぬふりしてカシャっと撮影。
隠しきれない挙動不審な行動に、ちょっと怪訝な視線を向けられながらもなんとか通報されることなく、フィールドワーク終了。
戻って確認すると、なかなかいい写真がとれていました。
寄り添ってコロッケを食べるカップルの図。
探偵に転職しようかしら。。。
2.フォトKA法の実施
さて、ここからが本番です。
撮影してきた写真のなかから各チーム6枚ピックアップ。
KA法(調査結果をそれぞれの事実の背後にあるユーザーにとっての価値を抽出する方法)により彼らが食べることにどういう価値を求めているかを探ります。
まずはKAカードを作ります。記入するのは以下の3つ。
- 出来事(今回は撮影した写真を使用)
- ユーザーの心の声
- 行為の背景にある生活価値
観察から得た行動データを整理し、ユーザーの心の声を想像します。
そこからどういった価値があるか考察します。
3.価値マップの作成
もう1チームの家族連れを観察したKAカードを並べ、類似している価値をKJ法でグルーピングします。
グルーピングしたそれぞれの価値から、共通する価値を分析した結果がこちら。
今回一番多く、また興味深かったのが優越感を得る価値です。
行列に並ぶカップル、おしゃれなカフェのオープンテラスでおしゃべりするママ友さんたち、運ばれてきた料理はスマホで撮影。
これは特に女性に多く見られます。彼女たちは美味しさ以外の価値を求めます。
それが優越感を得る価値であると考えました。
【まとめ】
ただ美味しいものを提供するだけで売れる時代ではないのです。
フランスのどこそこで修行したシェフだとか、ハワイの店が日本初出店だとか、創業明治何年だとか、グルなびで星がいくつだとか・・・
人はその背景にある伝説に価値を見いだすのです。
そして長時間並んででも、大枚はたいてでも、ものを食らうわけです。
もはや、生きるために食う時代ではないのです。
最近では、いかにSNSで自慢したいかがポイントですよね。
より良く見せるための画像加工アプリもたくさんあります。
シーンやライフスタイルの変化にあわせたサービスを提供していかないといけないってことですね。
つまり、モノみてんじゃねーよ、人見ろよってことですね!
分かってはいても、モノに注目してしまいがちになるところを、ワークショップなどを通し、人を見るクセをつけていくことが大事だなぁと改めて感じました。
UXKYOTO#01のレポートで観察法について書いているので、そちらも参考にしてみてください。
UXやHCDを勉強して、どんな時代でも生き抜ける力を身につけましょー!