先月、Webアクセシビリティに関する社内勉強会に参加し、幅広いユーザーに対してものを作るときの考え方というのに興味を持ちました。
高齢化社会がどんどんと進む今。
全世界の人が日本に訪れる東京オリンピックを7年後に控えた今。
高齢者、障がい者、外国人…様々な人にとって使いやすいものを提供することが必要とされています。
もちろん今まで考慮しなくてよかったわけではありませんが、その需要は確実に高まっているのです。
そして、その対応が世の中でどのように進められているのかを最近知り、いろんな発見や驚きがあったのでその一端をお届けしたいと思います!
QR Translator
看板や印刷物を簡単に多言語化!
「サイト上から発行されるQRTコードを看板などに設置し、ユーザーが携帯端末でコードを読み取ると、言語設定を認識して翻訳文を表示してくれる」という限られたスペースで多言語での情報発信を可能にしているサービスです。
さらにwebならではの利点が、張り替え不要ということ。
QRTコードはそのままに、web上の管理画面から、翻訳テキストの編集や画像挿入が可能なのです。
何か変更があるたびに、複数言語の変更を行うのは大変ですが、これだと日本語のみで手間も省け、省エネです。
対応している言語は19言語、というのも電子化ならではの言語数。
QRコード自体の認知度は、諸外国においても約8割とのこと。これなら外国人も利用しやすいです。
身近なところでは、今年オープンした「あべのハルカス近鉄本店」で利用されているそうです。
参考:百貨店初・《QRコード》を使った外国人観光客への新しい取組み…
引用・参考元:
QR Translator – 世界を言語バリアフリーに
近鉄百貨店あべのハルカス本店でQRTranslatorのご利用がスタートしました。 | 国際ウェブマーケティングのエクスポート・ジャパン
UD Cast
映画や放送番組、展示施設などをスマホやタブレットの専用アプリを使ってバリアフリー化させるサービス。
QR Translatorと同様、もの自体は一つ、Web上で多様なユーザーに対応しており、主に3つの機能を提供しています。
「日本語字幕」=耳の聞こえづらい、聞こえない方(高齢者、聴覚障害のある方を含む)にセリフやナレーションや演出音を伝える字幕
「音声ガイド」=目の見えづらい、目の見えない方(高齢者、視覚障害のある方を含む)に映像の内容を説明する音声のこと
「外国語字幕」=また日本語が理解できない外国人に外国語字幕を提供する
このように、外国人に対しても障がい者に対しても、というとても幅広い使い方のできるサービスです。
さて、そもそもこのサービスを提供した背景には、次のようなことがあるそうです。
まずは放送業界の動向。放送業界では、総務省の指導で、放送番組における字幕付与100%、解説放送10%の努力目標を2017年までに達成を掲げてバリアフリー化が進められているとのこと。
また高齢難聴者は1000万人以上にのぼるともいわれており、その対応は必要を迫られているのです。
そして、バリアフリー関連の法整備も進められていること、東京オリンピックの開催に向けて多言語化のニーズも高まると予想されることも理由としてあるそうです。
同じ場所で同じものを様々な国の人、障がい者も健常者も分け隔てなく楽しめる日はそう遠くないかもしれません。
引用・参考元:UDCast
こうやってみていると、バリアフリー化に対するwebの特性を活かしたアプローチの方法がいろいろあるのがわかります。
そして全然web関係ないですが、初めて知って勉強になったのでもう一つ!
LED TRAFFIC SIGNAL
日本には赤のLED信号機が見えにくい人が300万人以上います。これは全人口の5%で、海外ではこの比率がもっと高くなっています。
黄と赤の区別が付きにくい色弱者にとって、LED信号機の色は見分けがつきにくい。電球式では明るさと質感の違いで区別がついていましたが、LEDではそれもできないのです。
LED TRAFFIC SIGNALは健常者は気にならず、色弱者にだけ見える×印を目印に組み込むことを目指して開発が始められました。
色弱者の見えにくさではなく、見えやすさを形にしている、「必要な情報が必要な人にだけ届く」というユニバーサルデザイン信号灯なのです。
全ての人に、全ての人に対する情報を提供すると、ユーザーにとっては要らない情報が多すぎる。ユーザーが探さずとも欲しい情報だけが手に届くというのはユニバーサルデザインを考える上でも重要なんですね。
開発自体は10年以上前から進められ、現在も改良が続けられています。
こちらも、広く実用化されることを期待!暮らしやすくするために何かをプラスすることも大切ですが、不安を取り除くことも同じくらいかそれ以上、大切だと思いました。
引用・参考元:九州産業大学 芸術学部 落合太郎研究室 / LED TRAFFIC SIGNAL
これからユニバーサルデザインへの対応や変化を身をもって感じることが増えそうですし、自分の仕事の中での対応の仕方を考えていかないと、と改めて感じます。
まずは知ることから・・・これからも情報収集して、知識をつけていきたいと思います!