日本を代表する酒造メーカーである「宝酒造株式会社」の中村様にお話をお聞きしました。

今回の事例では、ECサイト構築時の施策からファン作りの取り組み、そして持続可能な運用方法についてインタビューを行っています。

 

宝酒造オンラインショップ

https://shop.takara.co.jp/

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目次

  1. 1. その後の成功を導いた、コロナ禍直前に実施した3つの大胆な施策
  2. 2. ECだからできる、ファン作り戦略
  3. 3. 業務を属人化させないための持続可能な運用工夫
  4. 4. さらなるファン化を目指して、今後取り組みたいこと
  5. 5. 最後に

 

その後の成功を導いた、コロナ禍直前に実施した3つの大胆な施策

-中村さまは長年ECに携わっていらっしゃるとのことですが、まず御社のEC運用の歴史を教えていただけますか?

 

私自身、もともと20年前からECのシステム担当をしていたのですが、3年前から現在の商品第三部で、ECおよび商品運用・マーケティングを担当しています。当社は今年でEC運用22年目になりますが、その歴史の中でもコロナ禍直前に実施した3つの施策が、現在の運用体制の基盤となっています。

 

ーその3つの施策について詳しくお聞かせください。

 

まず1つ目は、EC店舗を自社EC1本に絞ったことです。

以前は、楽天市場、Yahoo!ショッピング、自社ECの3店舗で幅広く商品を販売していました。ただ、3店舗の管理はリソースや費用対効果が合わないところがありました。そこで、楽天とYahoo!を退店し、自社ECのみに絞りました。

 

2つ目は、運用に携わる社員を絞ったことです。

従来、ECの運用は複数部署に渡って管理していました。分業で負担を分散できることはよいのですが、複数の関係者が関わると、管理の仕方も複雑で却って非効率でもありました。フローを簡略化するため、ECを1つの部署のみでの管理とし、運用関係者を絞りました。

 

3つ目は、カートをリプレイスしたことです。

店舗数や運用体制を見直すタイミングで、ECカートをMakeShop様に変更しました。複数のカートをフラットな目線で比較し、熨斗の名入れなど、商品特性やお客様に応じた細かな気配りに対応できる点で選びました。

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ECだからできる、ファン作り戦略

―運用体制を整えた後、次なる目標としてどのようなものを掲げられたのでしょうか?

 

運用の土台の次は、ECの強みを活かしたファン作りに臨みました。量販店のお客様との関係性を維持しながらできる、EC独自のブランディング施策とは何か。当時、グループ企業の大平印刷株式会社の担当者からの紹介で名前が上がったのが、京都のWEB制作会社である株式会社ブリッジコーポレーション様で、パートナーとして幅広く相談に乗っていただきました。

 

―弊社ブリッジコーポレーションとの協業は、どのように進んでいったのでしょうか?

 

パートナーとして幅広く相談に乗っていただき、そこから生まれた施策が2つあります。

 

まず1つ目が、商品点数の厳選です。

商品点数を従来の400点から150点に絞りました。事業者様の中には、商品を絞ると売り上げが減ると懸念して踏み出せない方もおられると思いますが、当社は酒造メーカーとして多数のブランドを持ち、商品ごとの規格展開も様々です。それら全ての運用を扱うためには、多くのリソースが必要でした。当社は敢えて、ECで取り扱う商品を高価格帯商品に厳選し、商品数を絞りました。結果として、運用のリソースに余裕ができ、確保した時間で、新たな商品企画やキャンペーンなどに着手することができました。

 

そしてその結果、2つ目の施策として、EC限定のプレミア感と高級路線でファン化につなげることに注力できるようになったんです。

 

―EC限定の施策について、具体的にお聞かせください。

 

代表的なものが2つあります。

1つ目は、当社のロングセラー商品である「一刻者」の「甕オーナー」制度です。2021年に発売20周年を迎えることを記念して、“全量芋焼酎「一刻者」<宮崎朝掘芋> 石蔵甕貯蔵「甕オーナー」”を、EC限定で募集しました。この商品は、原料である芋の鮮度に極限までこだわり、貯蔵に最適な「石蔵」において約1,000Lの専用「甕」を使用して熟成させた、特別な逸品です。オーナー様には、石蔵甕貯蔵開始から約90日・180日・熟成完了の3回に渡ってできたての「一刻者」をお届けし、時間の経過と共に洗練されていく味わいの変化を体験していただきます。さらに、オーナー認定書やオーナー様名入りラベルなど、「甕オーナー」だけが体験できる特典をご用意しています。

 

―反響はいかがでしたか?

 

2021年実施時は予約開始18日で完売し、2022年も200口限定で受注予約を行ったところ、完売しました。

 

2つ目は、現代の技術と伝統の技が融合した「松竹梅白壁蔵」の「蔵出直送」チルド便氷点下貯蔵酒3回定期便です。この清酒は、日本古来の伝統製法「生酛造り」でつくられ、四季を通じて-5度前後の氷点下の「氷室蔵」で貯蔵されます。原料米の異なる「全量五百万石」「全量山田錦」と、華やかな香味が際立つ貯蔵酒をブレンドした「Blended」を、3回に分けてお届けします。こちらもEC限定予約で、高価格帯ではありますが、ここだけで味わえる特別な商品であり体験というところから、多くのお客様に好評いただいている商品です。

 

■宝酒造オンラインショップ

「一刻者」ご紹介ページ

https://shop.takara.co.jp/shopbrand/ct8/

「松竹梅白壁蔵」ご紹介ページ

https://shop.takara.co.jp/shopbrand/ct11/

業務を属人化させないための持続可能な運用工夫

 

―順調にEC事業が成長する中で、運用面ではどのような工夫をされていますか?

 

EC運用担当者にとって、管理の属人化や、担当範囲が不明瞭なことが、大きな悩みの1つだと思います。当社の場合、カートリプレイス後、しばらく私1人でECを担当していたのですが、少し前に入社2年目の黒澤が新たな戦力として加わりました。彼に実務を引き継ぐに際し、徹底して行ったのは運用マニュアルの作成です。毎日のルーティン作業を始め、受注処理の手順やカートの操作方法まで、事細かにアウトプットしました。リプレイスのタイミングで関係者を絞り、運用体制を一本化していたことも功を奏し、とてもスムーズに引き継ぐことができました。現在は彼が実務を主に回し、受注処理から運用業務まで一気通貫して担当しています。

 

―日々の運用で心がけていることはありますか?

 

出社後すぐに受注状況を確認するようにしています。16時までに受注処理を完了できればよいことではありますが、受注時のエラーなど、不測の事態に備えて必ずチェックします。小さな工夫かもしれませんが、これらの積み重ねが、結果的に無理のない持続可能な運用につながっています。時間に余裕が生まれたことで、LINE広告やメールマガジンなどの販促活動、新商品開発のための情報分析など、付加価値を生み出すための有益な活動ができています。

さらなるファン化を目指して、今後取り組みたいこと

 

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

 

今後は、ECを通してお客様の声をキャッチアップし、商品企画やリピーター施策に活かしていきたいと思っています。MakeShop様の機能でアンケートフォームを自由に作ることができるので、フォームのURLをメールマガジンに貼付して、お客様の感想や要望を収集したいです。

また、当社のECで扱う高付加価値商品は、作り手の想いをストーリーで感じられるものが多く、それがリピーターやファン化につながっていると思います。最高の技術によって作られた品質とこだわりの味を、一人でも多くの方に届けたいですね。そして、宝酒造のECだけではなく、宝酒造そのもののファンになっていただけることを目指します。

 

最後に

 

ここまで宝酒造の構築時に取った施策(カートリプレイス・運用体制見直し)と、ECの強みを活かしたファン作り、持続可能な運用のための工夫、そしてこれから私たちがチャレンジしたいことをお話しいたしました。お客様に自社と自社商品を愛してもらえるために、ECでできることは何か。当社の取り組みが、EC事業者のみなさまのお悩み解決の一助になりましたら幸いです。

Webの件だけでなく、DXを推進するためのツール選定など、ブリッジコーポレーションさんにはデジタル面でのコンサルタントとして、これからもサポートいただきたいです。

―ありがとうございました!

 

宝酒造オンラインショップ

「一刻者」ご紹介ページ

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