近年、システム構築においてクラウドが利用されることが増えてきており、これまでは、オンプレミス環境で開発されていたアプリケーションも、環境の変化やクラウドサービスの充実により、クラウド環境で開発されることが多いです。

そこで本記事では、クラウドアプリケーションの概要から、メリットや開発手順、事例までをご紹介します。クラウドアプリケーションがどんなものかよくわからないという方は、ぜひご一読ください。

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目次
1:クラウドアプリケーションとは?
-Webアプリケーションとの違い
-クラウドアプリケーションが普及した背景
2:クラウドアプリケーションの形式
-SaaS(Software-as-a-Service)
-PaaS(Platform-as-a-Service)
-IaaS(Infrastructure-as-a-Service)
3:クラウドアプリケーションのメリット
-コスト削減
-開発期間の短縮
-柔軟なスケーラビリティ
-実務的な機能が仮想環境上に搭載
4:クラウドアプリケーション開発の手順
5:クラウドアプリケーション構築におすすめのサービス
6:クラウドアプリケーション開発における注意点とリスク
7:クラウドアプリケーションの具体例と活用事例
8:まとめ
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クラウドアプリケーションとは?

クラウドアプリケーションとは、デバイスのローカルなどではなく、インターネットを通じてクラウド環境で展開されるアプリケーションのことを指します。

コスト削減やスケーラビリティ、利便性の高さなどから、多くの企業が導入を進めています。特に、ITリソースの管理や運用コストを削減しつつ、業務の効率化を図りたいと考えている企業にとって、クラウドアプリケーションは非常に有効なツールと言えます。

Webアプリケーションとの違い

クラウドアプリケーションは、Microsoft Office 365のように、専用のプログラムをデバイスにインストールして使用し、オフライン環境でも文書の編集や閲覧が可能なように設計されています。このプログラムは、クラウド上のサーバーと連携して動作し、次回オンラインに接続された際に自動的に同期されるため、ユーザーは常に最新のデータにアクセスできます。
一方で、GmailのようなWebアプリケーションは、Google ChromeなどのWebブラウザを介してオンラインで利用することが前提ですが、オフラインモードなど特定の技術を利用することで、オフラインでのメールの作成や閲覧も可能になります。

このように、クラウドアプリケーションは専用プログラムを通じてオフライン利用に優れ、Webアプリケーションはブラウザベースで主にオンライン利用を想定しています。しかし、近年ではWebアプリケーションにもオフライン機能が導入されることが増えており、両者の差は徐々に縮まっているとも言えます。

クラウドアプリケーションが普及した背景

クラウドアプリケーションが普及した背景には、システム構築の主流がオンプレミスからクラウドへ移行していることと、SaaS系サービスの増加が大きな要因として挙げられます。従来、企業はオンプレミスと呼ばれる手法で、すべての機能を個々の端末にインストールして運用していましたが、クラウドアプリケーションは、必要な機能やデータをオンラインサーバー上に置くため、大きな容量の確保や複雑なバージョンアップ作業が不要になりました。これにより、クラウドアプリケーションは企業にとってコスト削減や運用の効率化を実現できる魅力的な選択肢となり、普及が進んでいます。
さらに、インターネット経由でソフトウェアを提供するSaaS(Software as a Service)系サービスの増加もクラウドアプリケーションの普及を後押ししています。SaaS事業者は、クラウド環境で短期間・低コストでのアプリケーション開発が可能であり、異なるクラウド間やオンプレミス環境でも稼働できる柔軟性を求めて、クラウドアプリケーション開発に注力するようになりました。

このように、クラウドを利用したシステム構築が主流となり、クラウドファーストのビジネススタイルが浸透する中で、クラウドアプリケーションはその利便性と経済性から、ますます多くの企業に採用されています。

クラウドアプリケーションの形式

クラウドアプリケーションには、主に3つの形式があり、それぞれSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)と呼ばれます。

これらの形式は異なる目的と特性を持ち、開発者は自身のニーズに応じて最適なサービスを選択します。クラウドアプリケーションは、クライアント側とサーバー側の2つの異なるシステム間で処理ロジックやデータストレージを分担するソフトウェアです。たとえば、一部の処理はデスクトップやモバイルデバイスなどのエンドユーザーのローカルハードウェアで行われ、一部はリモートサーバーで実行されます。ユーザーは、WebブラウザやAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を介してクラウドアプリケーションを操作します。各形式は、クライアント側とサーバー側の間でどのように処理を分担し、ユーザーエクスペリエンスをどのように最適化するかによって異なっています。

SaaS(Software-as-a-Service)

SaaS (Software-as-a-Service) は、クラウド・コンピューティングの中で最も一般的な形式であり、ユーザーがインターネット経由でソフトウェアアプリケーションにアクセスできる仕組みです。
この形式では、ソフトウェアや関連するデータはクラウド上に存在し、Webブラウザやモバイルアプリを通じて利用されます。ユーザーはソフトウェアのインストールや設定を行う必要がなく、世界中のどのデバイスからでもアクセスが可能です。

SaaSは、インフラストラクチャやプラットフォーム、ソフトウェアのメンテナンスを自社で行う必要がなく、初期費用を抑えたい企業や個人にとって理想的な形式です。SaaSソリューションの利用には高速なインターネット接続が必要ですが、専用のITインフラを構築するコストを削減できるため、全体的なコスト効率が向上します。
代表的なSaaSの例として、Google DocsやMicrosoft Office 365などの一般消費者向けサービスがあり、また人事ソフトウェアや顧客関係管理ツールなど、企業向けのエンタープライズソリューションも含まれます。

PaaS(Platform-as-a-Service)

PaaS (Platform-as-a-Service) は、アプリケーションを開発、実行、管理するためのプラットフォームを提供するクラウドサービスで、開発者が物理的なインフラストラクチャや環境のビルド・メンテナンスを行う必要がないのが特徴です。

PaaSは、第三者のサービスプロバイダーがハードウェアとアプリケーション・ソフトウェアのプラットフォームを提供し、開発者はその上でアプリケーションやデータを自由に制御できます。これにより、開発者はインフラの管理から解放され、アプリケーション開発に専念できるため、非常に効率的です。
Microsoft Azure、Heroku、OpenShiftなどがPaaSの代表的なサービスであり、既存のシステムやデータベースとの統合も容易に行えるため、多くの企業が利用しています。

IaaS(Infrastructure-as-a-Service)

IaaS (Infrastructure-as-a-Service) は、プロバイダーがパブリッククラウドやプライベートクラウドを介して、ネットワーキング、ストレージ、仮想化などの基本的なコンピューティングリソースを提供するサービスです。

ユーザーはAPIやダッシュボードを通じてインフラストラクチャにアクセスし、OSやアプリケーション、ミドルウェアなどは自分で管理しますが、ハードウェア、ネットワーク、サーバーの管理や、停電や修理といったハードウェアに関する問題は、AWSやMicrosoft Azureといったプロバイダーが担当します。
IaaSは、インフラの柔軟なカスタマイズを可能にし、開発者が自分のニーズに合わせた環境を構築することが可能となっています。

クラウドアプリケーションのメリット

クラウドのアプリケーションが企業にもたらすメリットとして、以下が挙げられますので、それぞれについて詳しく解説していきます。
・コスト削減
・開発期間の短縮
・柔軟なスケーラビリティ
・実務的な機能が仮想環境上に搭載

コスト削減

クラウドアプリケーションの導入は、オンプレミスと比較して初期費用や運用コストを大幅に削減できる点が大きなメリットです。

オンプレミス環境では、企業が自社内にサーバーを設置し、すべての機能を端末にインストールする必要があり、そのための機器購入費や運用に伴う管理費、電力費、保守費など多大な費用がかかります。
一方、クラウドアプリケーションは、必要な機能の多くをオンラインサーバー上で提供するため、端末へのインストールは最小限に抑えられ、サーバー購入やシステム開発が不要です。これにより、初期費用を抑えられるだけでなく、管理や維持にかかるコストも大幅に低減できます。
また、クラウドサービスは柔軟な料金体系を採用しており、企業は使用した分だけの料金を支払えばよいため、少額の投資でスタートできる点もクラウドアプリケーションの大きな魅力です。

開発期間の短縮

クラウドアプリケーションの開発は、従来のオンプレミス型のアプリ開発に比べて、開発時間を大幅に短縮できるという大きなメリットがあります。

オンプレミス環境では、システムをゼロから設計・開発する必要があり、インフラ設定やソフトウェア設定も自社で行うため、利用開始までに何ヶ月もの期間がかかることが少なくありません。
一方、クラウドアプリケーションでは、オンライン上に既に整備されたリソースや開発基盤を利用できるため、インフラやソフトウェアの設定が容易であり、アップデートも自動的に管理されます。これにより、開発者はアプリケーション開発に専念でき、開発工数も少なく済みます。

ビジネスにおいてスピードは非常に重要であり、クラウドアプリケーションを利用することで、サービス導入後すぐに開発を開始し、短期間でのリリースが可能になる点は、競争優位を確保するための大きな利点です。

柔軟なスケーラビリティ

アプリケーション開発において、リリース後にどの程度のユーザーが利用するかを正確に予測することは難しく、事前にサーバーなどのリソースをどの程度準備すれば良いかが大きな課題となります。

オンプレミスでは、物理的なハードウェアの容量を確保する必要があり、アプリケーションの機能拡大やトラフィックの増加に対応するためには、追加の設備投資が必要です。
しかし、クラウドアプリケーションの場合、ハードウェアの制約がなく、クラウド環境でアプリケーションを開発することで、ユーザーの需要に応じてリソースを柔軟に拡大・縮小することが可能です。

これにより、開発者は必要以上の容量に投資することなく、想定外のリソース増減にもスムーズに対応できるため、消費者ニーズの変化が激しい現代において、クラウド利用は大きなメリットとなります。

実務的な機能が仮想環境上に搭載

クラウドアプリケーションの開発において、必要な機能や開発ツールは、仮想環境上に搭載されています。
仮想環境とは、オンライン上にあるサーバーの上で、あたかも端末が存在するかのように機能する環境のことで、個々の端末からアクセスすることで、その機能を利用することができます。この環境では、開発ツールや実行エンジンがすでに整備されており、開発者はWebブラウザを通じてこれらのツールにアクセスできるため、自社端末に開発環境をインストールする手間が省け、最小限の設定で開発作業を開始できます。

さらに、仮想環境内では、モジュールの「単体テスト」や「結合テスト」をその場で行うことができ、既存のモジュールやライブラリを活用することでコーディング量を最小限に抑えられるため、開発コストや開発期間を大幅に圧縮することが可能です。

クラウドアプリケーション開発の手順

クラウドアプリケーションの開発には、入念は市場調査や実践的なテスト、そしてアフターフォローなどがとても重要です。そのため以下では、クラウドアプリケーション開発する際の手順について解説します。

ターゲット市場の調査

クラウドベースのモバイルアプリを設計する際には、まずターゲットとなるユーザーを徹底的に考慮することが重要です。

ユーザーのニーズを深く理解することで、開発プロセスがスムーズになり、より質の高い最終製品を生み出すことができます。具体的には、人口統計や行動パターン、生活スタイルなど、潜在的なユーザーに関するあらゆる情報を収集し分析することが求められます。そのため、優れたモバイルアプリケーションを開発するためには、理想的なユーザー像であるユーザーペルソナを設定することが非常に有効です。

ユーザーペルソナを明確に定義することで、ターゲットユーザーの具体的なニーズや期待に応じた機能やデザインを設計でき、ユーザーエクスペリエンスを最大化することが可能になります。

要件定義と計画

このステップでは、アプリケーションの目的や機能、ターゲットユーザーを明確にします。

どのような問題を解決するのか、ユーザーがどのようにアプリを使うのか、どのプラットフォームで提供するのかなど、詳細な要件を定義します。この情報を基に、プロジェクトのスコープ、予算、タイムライン、リソースの計画を立てます。
ここでの計画が、プロジェクト全体の成功を左右する重要な基盤となります。

サイトマップの作成とワイヤーフレーム設計

次に、アプリケーションの構造を明確にするために、サイトマップを作成します。

これにより、アプリケーション内のページや機能の関連性が視覚的に把握できるようになります。ワイヤーフレーム設計では、ユーザーインターフェース(UI)の基本的なレイアウトやナビゲーションの流れを定義します。
この段階で、ユーザーがどのようにアプリケーションを操作するのか、主要な機能がどのように配置されるのかを検討し、ユーザーエクスペリエンス(UX)を最適化します。

設計と開発・実装

サイトマップとワイヤーフレームを基に、詳細な設計を行います。

ここでは、デザイン要素、システムアーキテクチャ、データベース構造、APIの仕様などを具体化します。その後、実際のコーディング作業に移ります。この段階では、フロントエンド(ユーザーが直接触れる部分)とバックエンド(データ処理やサーバー側の機能)を開発し、全体の機能を統合します。

テストとデバッグ

開発が完了したら、アプリケーションが計画通りに動作するかを確認するために、徹底的なテストを行います。

機能テスト、パフォーマンステスト、セキュリティテスト、ユーザビリティテストなどを実施し、不具合(バグ)がないかを検出します。テストで発見された問題は、デバッグによって修正され、再度テストを行って問題が解決されていることを確認します。

デプロイと継続的なアップデート

テストをクリアしたアプリケーションは、ユーザーが実際に利用できる環境にデプロイ(展開)されます。

この段階で、クラウドサーバーにアプリケーションを配置し、サービスを開始します。サービス開始後も、ユーザーからのフィードバックや新たな要件に応じて、アプリケーションのアップデートや機能の追加を継続的に行います。これにより、アプリケーションが時代の変化やユーザーのニーズに対応し続けることが可能になります。

ユーザーサポートと改善

デプロイ後の運用フェーズでは、ユーザーからの問い合わせ対応や、トラブルシューティングを行います。

ユーザーサポートは、アプリケーションの満足度を高め、長期的な利用を促進するために重要です。また、ユーザーからのフィードバックや利用データを基に、アプリケーションの改善を続け、より良いサービスを提供していきます。
このプロセスを通じて、アプリケーションの品質を維持し、ユーザーとの信頼関係を築いていくことができます。

クラウドアプリケーション開発における注意点とリスク

クラウドのアプリケーション開発における注意点とリスクとして、以下が挙げられます。
・セキュリティの確保
・クラウドサービスが終了するリスク
・社内システムとの連携

それぞれについて解説していきます。

セキュリティの確保

クラウドアプリケーションは、企業内でのシステム運用管理が不要になる一方で、データがクラウド上に存在するため、セキュリティ上の課題が生じます。具体的には、データの漏洩や不正アクセスのリスクが増すため、セキュリティ対策が非常に重要です。

これらのリスクを軽減するためには、パスワードポリシーの強化や二段階認証の導入、また、セキュリティソフトウェアの活用や従業員に対する適切な教育が重要です。クラウドサービスを選ぶ際には、セキュリティの脆弱性を事前にチェックし、データの暗号化やアクセス制御、オブザーバビリティやモニタリング機能を備えたサービスを選定することで、セキュリティを一層強化することができます。

クラウドサービスが終了するリスク

クラウドサービスを利用する場合、自社で使っているサービスが突然提供終了するリスクがあります。例えば、サービス提供元の企業が倒産した場合、そのサービスは即座に利用できなくなる可能性があります。

このリスクは、特に小規模な企業やスタートアップが提供するサービスにおいて顕著です。しかし、大手企業が提供するクラウドサービスであれば、倒産や突然のサービス終了のリスクは比較的低く、安心して利用できるでしょう。
そのため、クラウドサービスを導入する際は、提供元企業の実績や信頼性をしっかりとチェックすることが重要です。また、サービスが終了した場合の代替案やデータ移行の手段を事前に検討しておくこともリスク管理の一環として有効です。

社内システムとの連携

クラウドアプリケーションは、既に完成されたサービスを利用する形態であるため、複雑なカスタマイズが苦手な傾向があります。オンプレミスと比べると、カスタマイズの自由度が制限されており、特に社内システムとの連携には制約が生じることが少なくありません。具体的には、クラウドサービスによっては自社の既存システムと互換性がない場合があり、これが業務プロセスに影響を与えるリスクがあります。

そのため、クラウドアプリケーションを導入する際には、利用するサービスが自社のシステムと連携可能かどうか、事前に互換性や連携性を詳細に確認することが重要です。また、必要に応じて、APIやカスタムインテグレーションのサポートが提供されているかを確認することも推奨されます。

クラウドアプリケーション構築におすすめのサービス

3大クラウドと呼ばれる「アマゾン ウェブ サービス (AWS)、Microsoft Azure(Azure)、Google Cloud Platform(GCP)」の3つのクラウドサービスが存在します。AWS、Azure、GCPはそれぞれAmazon、Microsoft、Googleが提供しているサービスであり、2023年の第3四半期にはこの3サービスで世界のクラウドサービスマーケットシェアの約66%を占めています。以上の3大クラウドについてこれから解説していきます。

AWS(Amazon Web Services)

AWS(Amazon Web Services)は、Amazon.com社が提供する世界で最も広く採用されているクラウドプラットフォームで、EC2、Lambda、S3などを含む90以上のサービスを提供しています。

AWSの特徴は、クラウドサービスとしての歴史が長く、利用経験のあるエンジニアが多いため、豊富な実績とユーザー基盤を持っている点です。また、従量課金制を採用しており、料金がわかりやすいため、クラウドアプリケーション開発をスモールスタートしたい企業にとって、最初の開発環境として非常に適しています。ネット上にはAWSに関する情報も多く、技術的なサポートが得やすいことも、AWSを選択する企業が多い理由の一つです。

GCP(Google Cloud Platform)

GCP(Google Cloud Platform)は、Google社が提供するクラウドサービスで、Googleが独自に開発した高速なネットワーク機器を利用しているため、ネットワークスピードが非常に速いのが特徴です。

GCPは、Google関連製品との親和性が高く、ビッグデータの解析や処理、機械学習モデルの構築に優れた機能を提供しています。代表的なサービスには、ビッグデータを解析するプラットフォームであるBigQuery、ウェブアプリケーションの作成や管理を行うGoogle App Engine、機械学習モデルを簡単に構築できるCloud Machine Learning Engineがあります。GCPも従量課金制を採用しており、料金体系がわかりやすいため、特にビッグデータや機械学習などの技術を活用したい企業にとって理想的なプラットフォームです。

Microsoft Azure

Microsoft Azureは、Microsoftサービスとの連携が非常に充実しており、特にマイクロソフトオフィスとの親和性が高い点が特徴です。
主な機能としては、ソフトウェアの開発からリリースまでを支援するAzure DevOps、サーバーを構築せずにプログラムを実行できるAzure Functions、Azure専用のストレージサービスであるAzure Storage、そして仮想マシンを提供するAzure Virtual Machinesがあります。

また、AzureはAI、ブロックチェーン、IoTなど、さまざまなクラウドサービスも幅広く提供しています。Azureの強みとしては、世界最大規模のグローバルネットワークによる高いパフォーマンスや、サイバークライムセンターを通じた高度なセキュリティ対策が挙げられます。このため、特にWindowsサーバーを利用している企業や、セキュリティを重視する企業にとって、Azureは最適な選択肢となるクラウドプラットフォームです。

クラウドアプリケーションの具体例と活用事例

クラウドアプリケーションの代表的な活用事例として、富士フイルム「IMAGE WORKS」、東京証券取引所「CONNEQTOR」、ヤマトホールディングス「クロネコ・ビッグデータ基盤」などが挙げられます。それぞれ紹介していきます。

富士フイルム「IMAGE WORKS」

富士フイルム「IMAGE WORKS」は、画像や動画などのデジタル資産管理に特化したクラウド型のファイル管理・共有サービスです。

当初はオンプレミス環境で提供されていましたが、利用者の要望に迅速に対応できないことが課題となっていました。これに対し、富士フイルムは、柔軟なスケーラビリティと迅速な対応を可能にするため、オンプレミスからクラウドへの移行を決定しました。
クラウド環境への移行により、システムの拡張やアップデートが容易になり、利用者の多様なニーズに迅速かつ効率的に応えることができるようになりました。また、クラウド上でのデータ管理により、セキュリティ強化やコスト削減も実現し、サービス全体のパフォーマンスが向上しています。

東京証券取引所「CONNEQTOR」

東京証券取引所「CONNEQTOR」は、低コストで迅速なETF(上場投資信託)取引を可能にする革新的なプラットフォームです。

このプロジェクトには、Microsoft、富士通などの技術をリードする4社が参画し、最先端の技術と専門知識を結集して開発が進められました。「CONNEQTOR」は、ETF取引のプロセスを簡略化し、より多くの投資家にとってアクセスしやすいものにすることで、東京証券取引所の競争力を強化し、金融市場のさらなる発展に寄与しています。

ヤマトホールディングス「クロネコ・ビッグデータ基盤」

ヤマトホールディングス「クロネコ・ビッグデータ基盤」は、国内最大規模の配送データを活用して、既存ビジネスの効率化を図るとともに、新しいデータビジネスを創出するための強力なプラットフォームです。

この基盤は、国内外で増加する配送ニーズに対応するため、運用管理の負荷を軽減し、顧客需要に応じてクラウド資源を柔軟に拡張する仕組みを備えています。さらに、MLOps(機械学習開発運用)を導入することで、配送業務における予測精度の向上を実現し、現場業務の最適化に成功しました。これにより、ヤマトホールディングスは、配送業務の効率化のみならず、データを活用した新たな価値創出が可能となり、物流業界における地位を更に強固なものにしています。

まとめ

クラウドアプリケーションは、従来のアプリケーションとは異なり、オンラインサーバー上に機能やデータが存在し、特定のクラウドインフラやテクノロジーに関する知識が求められる新しい形態のアプリケーションです。そのため、業務効率化や大容量ファイルの管理、オンライン・オフライン問わず作業を行うユーザーにとって不可欠な存在となりつつあります。
一方で、クラウドアプリケーションの開発には、従来のアプリケーション開発と異なる課題もあります。特に、カスタマイズ性や既存の社内システムとの連携において制約が生じる可能性があります。また、クラウドアプリケーションは導入後の運用・管理や拡張性を考慮した設計が必要です。そのため、このような課題を解決するためには、知識の豊富な専門家に相談するのが良いでしょう。

ブリッジコーポレーションでは、クラウドアプリケーションの開発に関する専門的なサポートを提供しており、導入前の相談から運用後のサポートまで幅広く対応しています。クラウドアプリケーションの導入を検討している企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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