新規事業の立ち上げには、スピード感と計画性が必要不可欠となり、そこで役立つのがフレームワークです。フレームワークを活用することで、様々な情報や自社の周囲の環境を効率的に整理・分析することが可能となります。

本記事では、新規事業の立ち上げに活用できるフレームワーク21選を紹介しています。フレームワークを活用する際のポイントや流れも解説しておりますので、ぜひ新規事業立ち上げの参考にしてください。

また、以下の記事ではWebサービスで新規事業を立ち上げる際の、手順やポイントについて解説していますので、こちらもぜひご一読ください。
Webサービスで新規事業を立ち上げる際の手順と成功へのポイント

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目次
1:フレームワークとは?
2:新規事業の目的と立ち上げのためのプロセス
-新規事業の目的
-新規事業の立ち上げプロセス
3:なぜ新規事業でフレームワークが必要なのか
4:新規事業でフレームワークを使用するメリットとデメリット
5:新規事業立ち上げのためのフレームワーク
-アイデア出しの際のフレームワーク
-市場理解・競合理解の際のフレームワーク
-新規事業の計画を立てる際のフレームワーク
-新規事業のマーケティング戦略を立てる際のフレームワーク
-新規事業の改良・修正をする時のフレームワーク
6:新規事業を成功に導くフレームワーク活用のポイント
-客観的に分析する
-複数のフレームワークを活用する
-新規事業の目的を常に意識する
7:まとめ
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1:フレームワークとは?

フレームワークは、目標達成のために必要な活動や考え方を体系的に整理するための枠組みです。
新規事業の開発においては、事業の方向性を定め、リスクを管理しながら、具体的な行動計画へと落とし込むのに役立ちます。

2:新規事業の目的と立ち上げのためのプロセス

新規事業の目的

新規事業の目的は、新しい価値を市場に提供し、企業成長を実現することです。
会社が今までやっていなかった種類の商品やサービスを提供することで、さらに新たな売上を作ることができます。
また、世の中の技術やお客様の好みは絶えず変わっているため、新しい事業を通じて、会社はこれらの変化に柔軟に対応し、競争に勝ち続けることができます。

新規事業の立ち上げプロセス

1.課題やアイデアの発見

まずは市場のニーズや問題を見つけ、新しいアイデアを考えます。これまで成功している新規事業は、明確な市場のギャップや顧客が抱える課題に対応しており、人々が本当に何を求めているかを理解する必要があります。

2.市場調査・分析

アイデアが見つかったら、次にそのアイデアが実際に利益をもたらす可能性があるかどうかを調べる必要があります。これを行うためには、ターゲットとなるお客様が実際にその製品やサービスにお金を払うか、どれだけの人が関心を持つかを調べます。

3.事業内容の検討

市場での需要が確認できたら、そのビジネスアイデアを具体的な計画に落とし込む必要があります。どのような製品やサービスを提供するか、どうやって収益を上げるか(価格設定はどうするか)、どのようにお客様に届けるかなどを決定します。

4.実行・改善

具体的な計画ができたら、実際にビジネスを開始し、顧客からのフィードバックをもとに継続的に改善していきます。このプロセスでは、始めたビジネスが期待通りに機能するかをチェックし、問題があれば修正を行い、サービスや製品を顧客がさらに喜ぶ形にしていきます。

3:なぜ新規事業でフレームワークが必要なのか

新規事業においてフレームワークを活用することで、事業の計画をしっかりと立て、市場を正確に理解し、目標に向かって効率的に進むことができます。
フレームワークは自分の感覚だけでなく、整えられたデータや情報に基づいて事業の状況を理解することができ、自分の思考を他者とも共有しやすくなります。つまり、視覚的に状況や方向性がわかるため、ブレがなくスピード感を持ってメンバー間で業務を進められます。

4:新規事業でフレームワークを使用するメリットとデメリット

メリット

新規事業において、フレームワークを活用することで得られるメリットは、複雑な情報を整理しやすくなることです。新規事業の立ち上げにあたって、どんな製品を提供するか、どんな顧客を呼びたいか、どのように宣伝するかなど、考えるべきことがたくさんあります。フレームワークはこれらの情報を整理して、一つずつ確認しながら進めることができるようにします。

デメリット

一方でデメリットとしては、常に変化している複雑なビジネス環境のすべてに対応することが難しい点です。また、フレームワークに頼りすぎると、新しいアイデアや柔軟な対応がおろそかになることがあります。
つまり、フレームワークは便利ですが、それだけに頼ってしまうと、重要な変化を見落としたり、創造的な解決策を見つけるチャンスを逃したりすることがあります。

新規事業立ち上げのためのフレームワーク

それではここからは、新規事業立ち上げの際に活用できるフレームワークをご紹介していきます。

〇アイデア出しの際のフレームワーク

まずは市場分析とターゲットの再設定を行います。このステップはブランドが現在の市場状況と消費者のニーズを理解し、効果的に打ち出すための基盤を築くために非常に重要です。
市場調査は、業界トレンドの把握や競合分析、顧客行動の理解などを行います。そして市場調査の内容を基に、最も効果的にリーチできる顧客層を特定します。

・ペルソナ分析

ペルソナ分析は、理想的な顧客やユーザーの架空のプロフィールを作成する手法です。具体的な年齢、職業、興味、ニーズ、課題などを定義し、そのペルソナが直面する可能性のある状況や問題を考えます。これにより、製品やサービスが実際にターゲットとなる顧客のニーズに合致するかどうかを検討できます。

・マンダラート

マンダラートは、アイデアを体系的に広げていくためのツールです。中心に主題やテーマを置き、その周りに関連するキーワードやアイデアを配置していきます。通常、3×3や5×5の格子で構成され、中央から外側に向かってアイデアを展開していきます。これにより、主題に関連する多角的なアイデアを引き出すことができます。

・ロジックツリー

ロジックツリーは、大きな問題を小さな部分に分けて考える方法です。一つの大きなテーマからスタートし、それをさらに小さな要素に分解していきます。このプロセスを通じて、問題の本質を理解し、解決策や新しいアイデアを見つけることができます。

・スキャンパー法

スキャンパー法は、既存のものを見直して新しいアイデアを生み出すための方法です。異なる視点(代替する、組み合わせる、適応させるなど)から物事を考え、新しい可能性を探ります。これにより、既存の製品やサービスを改良したり、新しい用途を見つけたりすることができます。

・6W3H

6W3Hは、「何を」「なぜ」「どのように」「誰が」「いつ」「どこで」「いくらで」「いくつ」など、問題やアイデアについて深く考えるための質問の枠組みです。これらの質問を使って、あるテーマについて詳細に考えることで、より明確で実行可能なアイデアを生み出すことができます。

〇市場理解・競合理解の際のフレームワーク

新規事業における市場や競合の理解を深め、効果的な戦略を立てることが可能となるフレームワークをご紹介します。

・ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、競合他社と自社製品を比較するためのツールです。2つの異なる属性(例えば価格と品質)を軸にして、市場内での製品やサービスの位置を視覚化します。これにより、市場内での自社製品の位置づけや競合との関係を明確に理解できます。

・3C分析

3C分析は、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素を分析するフレームワークです。市場のニーズや競合の戦略、自社の強みと弱みを理解することで、効果的なビジネス戦略を立てることができます。

・VRIO分析

VRIO分析は、自社の資源と能力を価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣不可(Imitability)、組織(Organization)の4つの観点から評価するフレームワークです。これにより、自社の競争優位を形成する要因を特定し、持続可能な競争力を構築する戦略を策定できます。

・STP分析(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)

STP分析は、市場を意味のあるセグメントに分け(セグメンテーション)、その中から最も魅力的なターゲット市場を選定(ターゲティング)、製品やサービスをその市場に合わせて位置づける(ポジショニング)プロセスです。これにより、市場のニーズに合わせた効果的なマーケティング戦略を展開できます。

・SWOT・クロスSWOT分析

SWOT分析は、自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を評価するフレームワークです。クロスSWOT分析では、これらの要素を交差させて、具体的な戦略の選択肢を導き出します。

〇新規事業の計画を立てる際のフレームワーク

新規事業の戦略を立てる際、市場のポジションや内部プロセスの最適化を考えるために役立つフレームワークをご紹介します。

・4C・4P分析

4C分析は、顧客(Customer)、コスト(Cost)、便益(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の観点から市場を分析します。4P分析(製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、プレイス(Place))は、マーケティングの観点から製品の市場戦略を立てる際に用いられます。

・5フォース分析

マイケル・ポーターによって開発された5フォース分析は、業界の競争構造を理解するために、競争の程度、新規参入者の脅威、代替品の脅威、バイヤーの交渉力、サプライヤーの交渉力の5つの力を分析します。

・9セルフレームワーク

9セルフレームワークは、市場の魅力と事業の競争力を評価するツールです。通常、縦軸に市場の魅力を、横軸に事業の競争力を配置し、9つのセル(マトリックス)に区分けします。各セルは、低、中、高の3つのレベルで市場の魅力と事業の競争力を評価することによって、事業を分類します。これにより、どの市場が投資に値するか、どの事業領域に焦点を当てるべきかを判断するのに役立ちます。

・バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、製品やサービスが顧客に届くまでの一連の活動を評価するツールです。マイケル・ポーターによって開発されたこのフレームワークは、企業がどのように価値を創出しているかを理解するために使用されます。バリューチェーンは一般に、主要活動(製品開発、製造、マーケティング、配送、アフターサービスなど)と支援活動(人事管理、技術開発、調達など)に分けられます。この分析を通じて、コスト削減や差別化の機会を特定し、競争優位を築くための戦略を策定できます。

〇新規事業のマーケティング戦略を立てる際のフレームワーク

新規事業のマーケティング戦略をより効果的に計画し、実行することが可能となるフレームワークをご紹介します。

・AIDMA

AIDMAは消費者の購買行動プロセスを表すモデルで、Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲望)、Memory(記憶)、Action(行動)の各フェーズから成ります。このモデルは、顧客が商品やサービスに気づき、興味を持ち、購入に至るまでのプロセスを理解するのに役立ちます。マーケティング戦略では、顧客がこれらのステップをスムーズに進むように設計し、購買を促進します。

・RFM分析

RFM分析は、顧客の購買行動をRecency(最近性)、Frequency(頻度)、Monetary(金銭的価値)の3つの観点から分析する方法です。最近性は最後の購買からの経過時間、頻度は購買回数、金銭的価値は購買額の大小を示します。この分析を通じて、顧客をセグメントに分け、ターゲットとする顧客層に最も効果的なマーケティング戦略を立てることができます。

・カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、顧客の購入プロセス全体を視覚化するツールです。顧客が製品やサービスに最初に触れてから購入、さらにはその後の利用や関係維持に至るまでの全ステップをマップ上に示します。このフレームワークは、顧客体験の各タッチポイントでの顧客の感情や思考、行動を理解し、顧客満足度を高める改善点を見つけるのに役立ちます。

〇新規事業の改良・修正をする時のフレームワーク

事業の現状を正確に把握し、改善の道筋を立てることが可能となるフレームワークをご紹介します。

・PDCAサイクル

PDCAサイクルは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、行動(Act)の4つのステップで構成されています。このサイクルを繰り返すことで、事業プロセスの継続的な改善を図ります。計画を立て、それを実行し、結果を評価してから、必要な改善を行うというプロセスを通じて、事業の問題点を特定し、効果的な解決策を実施します。

・カイゼン

カイゼンは、小さな改善を継続的に行うことで、事業プロセスの品質を高める日本発祥のアプローチです。目標は、業務の非効率や無駄を排除し、生産性を向上させることにあります。カイゼンは、従業員が日常の業務の中で改善点を見つけ出し、小さな変更を積み重ねることで大きな成果を得ることを目指します。

・フィードバックループ

フィードバックループは、顧客や利用者からのフィードバックを積極的に収集し、それを製品やサービスの改良に活用するプロセスです。顧客の意見や要望を理解し、それに基づいて事業の改良や修正を行うことで、顧客満足度の向上と事業の成長を目指します。

・リーンスタートアップ

リーンスタートアップは、最小限の労力で製品を市場に投入し、そこから得られる顧客の反応をもとに、製品を継続的に改良していく方法論です。ビルド(Build)、メジャー(Measure)、ラーン(Learn)の3つのステップで構成され、製品開発を素早く反復することで、顧客のニーズに合った製品やサービスを創り出します。

新規事業を成功に導くフレームワーク活用のポイント

新規事業でフレームワークを活用する際には、以下の3点に気を付けて活用しましょう。

客観的に分析する

新規事業を評価する際には、自社の願望や思い込みを排除し、客観的なデータや情報に基づいて判断することが不可欠です。市場調査、顧客インタビュー、業界レポートなどを活用して、事業計画の妥当性を検証する必要があります。例えば、経済産業省が提供する市場動向レポートなどは、客観的な分析に役立つ情報源となります。

複数のフレームワークを活用する

一つのフレームワークだけに依存するのではなく、異なる角度から事業を分析するために複数のフレームワークを組み合わせることが必要です。例えば、市場の大きさや成長性を把握するために5フォース分析を用い、同時にSWOT分析で自社の強み、弱み、機会、脅威を評価することで、より包括的な事業戦略を立てることができます。

新規事業の目的を常に意識する

すべての分析や戦略立案のプロセスにおいて、新規事業の目的を忘れないようにしましょう。事業が目指すべき成果や市場でのポジショニングを常に意識することで、関連性のない情報や活動から注意をそらし、リソースを最も重要なエリアに集中させることができます。

まとめ

新規事業で活用できるフレームワークについてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。フレームワークには多くの種類が存在するため、自社に合ったものを選定して活用しましょう。

また、新規事業の立ち上げは、組織を横断する大規模なプロジェクトになるかと思います。本記事でも述べたように、新規事業には多くのリソースが必要となるため、プロジェクト管理は外部の専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。

ブリッジコーポレーションでは、PMOサービスをご提供しており、プロジェクトの立ち上げ・進行管理、外部業者・社内の関連部署との調整などをサポートさせていただきます。
新規事業の立ち上げを検討されている方は、是非お気軽にご相談ください。

また、以下の記事ではWebサービスで新規事業を立ち上げる際の、手順やポイントについて解説していますので、こちらもぜひご一読ください。
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