皆様は、2021年5月の「障害者差別解消法」の改正により、2024年4月からWebアクセシビリティの対応が民間企業でも義務化されることをご存じでしょうか?

Webアクセシビリティとは、簡単に述べるとWebサイトを利用している全ての人が、支障なく利用できるようにすることです。

この記事では、Webアクセシビリティとは何かから、法改正の内容と具体的な対応方法までを解説しております。Webサイトを所有する企業の皆様には是非ご覧いただきたい内容となっております。

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目次
1:Webアクセシビリティとは?
-Webアクセシビリティの規格:JIS X 8341-3:2016
2:webアクセシビリティが義務化される法改正の内容
-障害者差別解消法とは
-障害者差別解消法の改正内容
3:Webアクセシビリティの義務化への対応方法
-対応の度合いを決める
-Webアクセシビリティの方針を公開
-試験実施・結果公開
4:Webアクセシビリティ対応のメリット
-ユーザーの満足度の向上
-安心感・信頼感の醸成
-SEO対策
-訴訟への対策
-インバウンド対策
5:Webアクセシビリティの対応はプロに相談
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1:Webアクセシビリティとは?

Webアクセシビリティとは、外務省のホームページで下記の通り定義されています。
ホームページを利用している全ての人が、心身の条件や利用する環境に関係なく、ホームページで提供されている情報や機能に支障なくアクセスし、利用できること

つまり、Webアクセシビリティとは、Webサイトを誰でも使いやすいサイトにすることです。

デジタル庁では、Webアクセシビリティをこれから学んでいく人に向けて「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」というものを公開しており、それによると一般的に「Webアクセシビリティが担保できている」状態とは、下記のような状態になることとされています。

・目が見えなくても情報が伝わる・操作できること
・キーボードだけで操作できること
・一部の色が区別できなくても情報が欠けないこと
・音声コンテンツや動画コンテンツでは、音声が聞こえなくても何を話しているかわかること

Webアクセシビリティの規格:JIS X 8341-3:2016

何を持ってWebアクセシビリティに対応しているのかイメージがつかない方も多いかと思いますが、明確な規格としてJIS X 8341-3:2016(正式名称:高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ)があります。
JIS X 8341-3:2016とは、ホームページ等を高齢者や障害者を含む誰もが利用できるものとするための基準が定められているものであり、内容はWebアクセシビリティの国際規格と完全に一致するものになっているため、JIS X 8341-3:2016に沿って対応を進めることで、誰もが使いやすいWebサイトとなります。

2:Webアクセシビリティが義務化される法改正の内容

今回のWebアクセシビリティの義務化は、2021年の「障害者差別解消法」という法律の改正が影響しています。

障害者差別解消法とは

障害者差別解消法とは、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的に制定された法律です。

障害者差別解消法の改正内容

今回の法改正での大きな変更点は、内閣府の新旧対照条文で述べられている下記の通り、障害者差別解消法における「合理的配慮」が事業者でも義務化されるようになったことです。

【改正前】 事業者は、その事業を行うに当たり…(中略)…社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
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【改正後】 事業者は、その事業を行うに当たり…(中略)…社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

尚、上で記されている「合理的配慮」とは、障害のある方から、社会の中にあるバリアを取り除くための何らかの対応が必要との意思が伝えられた際、負担が重すぎない範囲での対応が求められるものです。

つまり今回の法改正で、全ての事業者は「合理的配慮」の一部として、Webサイト内のバリアを取り除くためのWebアクセシビリティ対応が必要となります。

3:Webアクセシビリティの義務化への対応方法

ここまでWebアクセシビリティの義務化の概要をお伝えしましたが、ここからは具体的な対応を解説します。

障害者差別解消法では、何を持って対応がされているかという具体的なWebアクセシビリティの要件までは記載されておりません。そこで、Webアクセシビリティの基準として、先述したWebアクセシビリティの規格である「JIS X 8341-3:2016」に沿うことで、誰でも使いやすいWebサイトになり、また、一定の基準を達している安心感のあるWebサイトだと証明することができます。

具体的に自社サイトがJIS 規格へ対応していることを証明するためには、以下3点へ対応する必要があります。

対応の度合いを決める

JIS X 8341-3:2016には対応度合が下記の3種類があります。

【準拠】試験結果が達成基準を全て満たしている場合に使えます。公開時は試験結果を合わせて公開します。
【一部準拠】達成基準の一部を満たしている場合に使えます。一部準拠の場合は追加で今後の対応方針を記載します。
【配慮】試験の実施と公開の有無は問いません。

Webアクセシビリティの方針を公開

JISX8341-3:2016の対応度を表記するために、「ウェブアクセシビリティ方針」を作成しなければならず、下記の 2点を決めます。

・対象となる範囲
Webサイトの内のどこを対象にするかを決める必要があります。一般的にはドメインかサブドメインで決めることが多いです。

・目標とする適合レベルを定める
「JIS X 8341-3:2016」で定義されている適合レベルのうち、「A・AA・AAA」のどのレベルに適合するかを選びます。法律やポリシーでもAAに適合させることが推奨されているので、原則 AAを目標とするのが良いです。

試験実施・結果公開

対象とする基準について試験を実施し、その試験結果を公開します。
試験方法については、JIS X 8341-3:2016 試験実施ガイドラインで示されています。

4:Webアクセシビリティ対応のメリット

法律で定められているため、Webアクセシビリティへの対応が必要と述べてきましたが、対応することでその他にもメリットが多く存在します。

ユーザーの満足度の向上

Webアクセシビリティに対応することにより、年齢・障害の有無・利用環境に関わらず多くのユーザーがストレス無く利用できるWebサイトとなり、満足度を高めることが出来ます。その結果、各Webサイトのゴールを達成することに繋がります。

安心感・信頼感の醸成

Webアクセシビリティの規格に準拠したWebサイトであると提示されている場合、サイトや企業自体の安心感・信頼感を高めることが出来ます。

SEO対策

Webアクセシビリティに対応することで、ユーザーだけでなく検索エンジンも情報が得やすくなります。適切なソースコードで記述されたWebサイトは全ブラウザで正しく表示され、結果的にSEO対策にも寄与します。

訴訟への対策

海外で障害のあるユーザーがWebサイトがアクセシブルでないとして訴訟を起こしたことがありました。これはすべてのWebサイトで同様のことが起こりえるため、それを防ぐためにも、Webアクセシビリティへ対応しておくことが必要です。

インバウンド対策

日本企業のWebサイトは国内ユーザーだけでなく、多くの海外ユーザーも閲覧している可能性があります。
Webアクセシビリティは障がいのある人や高齢者だけでなく、言語が異なる人にとっても使いやすくする大切な規格となり、アクセシビリティへの配慮を通じて、より多くのユーザーに情報を提供することができます。

5:Webアクセシビリティの対応はプロに相談

本記事で述べた通り、Webアクセシビリティの対応には専門的な内容への理解も必要となります。そこで、実績が豊富なプロの制作会社へ相談することが有効となります。

ブリッジコーポレーションは、創業から28年の間で多くの企業様のWebサイトを制作させていただいた実績がございますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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