今回は、2023年6月に改正が予定されている「電気通信事業法」についてご紹介します。
電気通信事業の定義と、検索・SNS事業に対する規律の拡大が主な内容です。

幅広い事業者が新たな規制の対象となるため、本ブログでは対象事業者や規制行為などを分かりやすく解説いたします。

================
目次
1:【2023年施行予定】電気通信事業法改正とは
2:電気通信事業法の適用を受ける事業者の要件と規制対象となる行為
3:必要な対応は?
4:電気通信事業法の改正ポイント①
5:電気通信事業法の改正ポイント②
6:電気通信事業法の改正ポイント③
7:まとめ
================

1:【2023年施行予定】電気通信事業法改正とは

総務省の資料によれば、以下の3つの目的が掲げられています。
①情報通信インフラの提供確保
②安心・安全で信頼できる通信サービス・ネットワークの確保
③電気通信市場を巡る動向に応じた公正な競争環境の整備

公布日|2022年6月17日
施行日|2023年6月17日までに施行予定

2:電気通信事業法の適用を受ける事業者の要件と規制対象となる行為

電気通信事業法の適用を受けるのは、以下の要件を全て満たす事業者です。
①「電気通信事業」を行っていること
②電気通信事業を「営んでいる」こと
③適用除外に該当しないこと

【電気通信事業に当たり得る事業の例】
①他人の通信を媒介するサービス
Lメール、ダイレクトメッセージ、ウェブ会議
②コンテンツ配信サービス
LSNS、電子掲示板、動画共有サービス、ストリーミング、モール(複数出品者)、シェアリング、マッチング
③検索サービス
Lオンライン検索サービス
④各種情報のオンライン提供サービス
L不特定の利用者の求めに応じて情報を送信し、情報の閲覧に供するサービス
(ニュース、気象情報、動画、オンライン地図等を配信するサービス)

▼具体例
・固定・携帯電話
・インターネット接続サービス
・利用者間のメッセージ媒介サービス
・Web会議システム
・SNS/オンライン検索サービス
・オンラインショッピングモール
・オークションモール
・各種情報のオンライン提供(ニュースサイト等)
・経費精算・勤怠管理・電子契約・顧客管理・採用管理またはビジネスチャットのオンラインサービス
・自動車メーカーによる渋滞情報配信サービス
など

引用元:総務省配布のパンフレットP.16
https://www.soumu.go.jp/main_content/000862755.pdf

【規制対象となる行為】
ウェブサイトやアプリでクッキー情報等を外部に送信させる場合
ウェブサイトやアプリに以下のようなタグやSDK等を設置する場合
☑Googleアナリティクス等のウェブサイトのアクセス解析
☑ターゲティング広告配信
☑マーケティングオートメーション

3:必要な対応は?

外部送信規律対象行為を行う外部送信規律の対象事業者は、以下のいずれかを行う必要があります。
①通知または公表
L利用者情報の外部送信について通知又は容易に知り得る状態に置くこと
以下の事項を通知または公表する必要があります。
・外部送信される情報の項目
・外部送信の送信先の氏名または名称
・外部送信の送信先における情報の利用目的
※日本語を用いて、専門用語を避け、わかりやすい表現を用いること。
※操作を行うことなく文字が適切な大きさで表示されるようにすること。

②同意取得
L利用者情報の外部送信について、あらかじめ利用者の同意を取得

③オプトアウト方法の公表及び本人の求めに応じた当該措置の実施
L利用者の求めに応じて利用者情報の送信・利用を停止する措置

4:電気通信事業法の改正ポイント①

届け出制の対象が拡大される
検索サービスやSNSの利用者拡大に伴い、運営会社に利用者情報の適正な取り扱いを義務付ける必要が生じたため、
届け出制の対象に下記が追加されます。
・検索情報電気通信役務(例:Googleなどの検索サービス)
・媒介相当電気通信役務(例:TwitterなどのSNS)

▼「検索情報電気通信役務」の対象
①利用者数が1,000万人以上である電気通信役務
②分野横断的な検索サービスを提供する電気通信役務(レストラン、商品など特定分野のみの検索サービスは対象外)

▼「媒介相当電気通信役務」の対象
①利用者数が1,000万人以上である電気通信役務
②主として不特定の利用者間の交流を実質的に媒介する電気通信役務
(付随的に当該電気通信役務を提供する電気通信役務及び商取引に関する情報のみ取り扱う電気通信役務は除く。)

引用元:https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000241520

5:電気通信事業法の改正ポイント②

特定利用者情報の取り扱いに関する義務が新設される
「特定利用者情報」という概念が新設され、「特定利用者情報」の取り扱いに関する電気通信事業者の義務が定められました。

「特定利用者情報」とは?
特定利用者情報とは、電気通信役務に関して取得する利用者に関する情報のうち、
以下のいずれかに該当するものを意味します。

①通信の秘密に関する情報
・個別の通信にかかる通信内容
・個別の通信にかかる通信の日時、場所
・利用者の氏名、住所、電話番号、個別識別符号、通信回数

②利用者を識別することができる情報であって、総務省令で定めるもの
・電気通信事業者(第三号事業者も含む)との間で契約を締結した者
・IDなどで利用者登録を行った者
上記の利用者に関するデータベース化された情報のみが規制対象となることが想定されます。

【具体的な義務の内容】
①情報取扱規程の整備・届け出をする義務
②情報取扱方針を策定・公表する義務
③特定利用者情報の取り扱いに関する自己評価を実施する義務
④特定利用者情報統括管理者を選任し、届け出る義務
⑤特定利用者情報が漏えいしたときに報告する義務

6:電気通信事業法の改正ポイント③

利用者情報の外部送信規制(Cookie規制)が新設される
利用者に関する情報の外部送信に対する規制が新設されました。
Cookie情報の利用を規制する側面があることから、「Cookie規制」と呼ばれることもあります。

利用者情報の外部送信規制が適用される事業者
①電気通信事業者または第三号事業を営む者であること
②事業の内容・利用者の範囲・利用状況を勘案して、利用者の利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令で定める電気通信役務を提供していること

まとめ

SNSやチャット・オンラインビジネスの普及は今後も拡大します。
時代の流れに合わせて個人情報やデータアクセスなどの規制が今後も世界的に進むでしょう。
弊社では、個人情報保護法対応(cookieポリシー対応)を行っております。
お気軽にご相談ください。

参考文献/サイト
https://www.soumu.go.jp/main_content/000820706.pdf
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban02_02000477.html

お問い合わせ