オウンドメディアとは、「自社で保有するメディア」のことであり、自社サイトやパンフレット、SNSなどの全てを指しますが、自社で情報の発信・運営を行うブログや記事サイトを意味して使われることが多いかと思います。オウンドメディアの効果としては「自社商品の購買促進や新規顧客の獲得」だけではなく、「企業の採用やブランディング、既存顧客のエンゲージメントを高める効果」まで相乗効果を見込むことが出来ます。
今回はオウンドメディアをゼロからのスクラッチで制作している弊社が、メリット・デメリット・運用目的別の活用事例をご紹介します。

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目次
1:オウンドメディア運営の目的
-目的別の設定すべき指標
2:オウンドメディア活用のメリット
3:オウンドメディア活用のデメリット
4:オウンドメディア活用事例
5:オウンドメディアを企業が活用する際は戦略と継続が重要
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1:オウンドメディア運営の目的

オウンドメディアの成功の定義は企業が目指す目的によってそれぞれ異なりますが、大きく分けると下記の5つがあります。
①お問い合わせや資料請求といったリード獲得目的
②採用力強化 / 社内向けブランディング目的
③商品サービスの認知向上目的
④既存顧客のロイヤルティ向上目的
⑤オウンドメディア自身でのマネタイズ目的

ひとつのオウンドメディアに複数の目的を設定する場合もあるかと思いますが、その場合は目的の優先順位付けをしっかり行うことが重要になってきます。
ここでは、5つの目的別に設定すべき指標の例を挙げていきます。

①リード獲得やナーチャリング(見込み客の育成)を目的とするオウンドメディアの指標は「リード獲得数」「セミナー(ウェビナー)申し込み数」などになります。
その他にも「メルマガ開封率」「クリック率」「転送数」などで品質を計ります。

②採用を目的としたオウンドメディアの指標はオウンドメディア経由の「エントリー数」で設定します。「エントリー数」だけでなく、「説明会への参加者数」「面接辞退数」「内定辞退数」を指標に設定することもあります。また、社内の人についての情報をオウンドメディアを通して発信していくことで社内の今を発信でき、これらの「閲覧数」も社内向けブランディングを目的としたメディアでは指標となります。

③認知度向上を目的としたオウンドメディアの場合、指標は「アクセス数」「PV数」などとなります。

④既存顧客のロイヤルティ向上を目的としたオウンドメディアの指標は、自社製品の紹介記事や自社サービスについての記事などの「閲覧数」が指標となります。顧客ロイヤルティを高めることで継続顧客獲得に繋がります。

⑤オウンドメディア自身でのマネタイズを目的としている場合は、①~④の目的で挙げたものが指標となります。なぜかというと、オウンドメディア自身でのマネタイズを目的とするのではなく、ほかの目的に向かってオウンドメディアを運営していく中で結果的にオウンドメディアでマネタイズができていた、というのが現実的だからです。初めからマネタイズを図っても成果が出るまでには一定の時間がかかるケースがほとんどのため、オウンドメディアの運営を始めてみたものの頓挫してしまったという話も珍しくありません。よって、初めからマネタイズ目的というより近くの目標を設定し、目標をクリアする中でマネタイズに成功していたというのが理想的だといえます。

2:オウンドメディア活用のメリット

次にオウンドメディア活用のメリットをご紹介いたします。メリットは大きく分けて5つあります。

①自社で発信内容をコントロールでき、ブランディングにつなげられる
・自社だけがもっているノウハウや他社と差別化できる情報を出すことができる。
・企業イメージにあう口コミや導入事例を紹介できる。
・サービスや商品の背景にある考え方や理念を伝えることができる。
・ひとつの記事だけでなく、記事を積み重ねることによって、ブランドの中身を伝えることができる。

②顧客のロイヤルティを向上させることができる
・商品サービスを提供するだけではなく、顧客とのコミュニケーションをとることができる。
・顧客に商品やサービスを深いレベルで理解してもらうことで、ファンになってもらうことが期待できる。
・その結果、リピート率を高めることができる。

③Cookieや会員登録などの情報が取得&活用できる
・自社オウンドメディアやECサイトを通して、会員登録をしてもらい、顧客情報を蓄積できる。
どこの誰がどんなサービス(ブログ記事)にアクセスしたのかを知ることは、Webマーケティング施策において非常に有利です。

④コンテンツが資産として蓄積されていく
・過去の記事から最新の記事までWEBサイトに資産として蓄積される。
・新規にアクセスした読者も、容易に過去の記事を読むことができる。
・オウンドメディアに蓄積された記事を編集して他のメディアに展開することもできる。
・営業職が、顧客開拓に有用な記事を印刷して持参し、営業ツールとして活用できる。
・合本を紙形式で制作し、イベントなどで配布し、プロモーションツールとして活用できる。

⑤宣伝広告費の低減
・オウンドメディアを広告、プロモーション戦略全体の中で位置付けることができる。
※失敗事例
オウンドメディアは、雑誌運営と同じ程度の人手が必要です。
このため、予算に見合う宣伝効果が得られずにオウンドメディア運営を停止するパターンも多々お見受けします。
SNSやSEO対策もそうですが、オウンドメディア運営も一朝一夕で結果がでるものではないため、長い目で見てコツコツと運営することが大切です。

3:オウンドメディア活用のデメリット

次にデメリットについてです。

①コンテンツ更新のリソース
・オウンドメディア運用に専属担当がついていないケースも多く、定期的な更新が難しい。
外注することももちろん可能ですが、その時は目的・目標の設定など、成功するオウンドメディアをつくるには、ある程度の人数やコストを割く覚悟が必要です。
・Webメディアの多くは、コンテンツ制作のプロが制作・運営していることが多い。
・ターゲットに親和性のあるコンテンツやお悩み解決ネタが自社で思いつかずプロジェクトが進まない。

②効果が出るまでに時間がかかる
WEB広告は最短で翌日から売り上げが立ちますが、オウンドメディアは長期のLTVを増加させることをねらって運営するため、効果が可視化されるには時間がかかります。

4:オウンドメディア活用事例

では、どういう風にオウンドメディアが活用されているのか目的別に事例を見ていきましょう。

①お問い合わせや資料請求といったリード獲得目的
BtoBの場合、「リード獲得」をKGIにするケースが多いと思います。
このようなケースでは、受注単価や受注率を加味して、オウンドメディアから何件のリードが発生すればよいのかをKPIと定めることが重要です。
オウンドメディアの制作費とリードからの受注額で採算の計算ができます。
つまり、このオウンドメディアで目指すべき成果目標は「リード獲得件数」です。現在かけているコストで何件のリードが獲得できれば費用対効果は「高い」のか計算が可能です。
ただ、冒頭ご説明した通り、オウンドメディアは即効性のある施策ではないため、運用してすぐに目標のリード数が獲得できるわけではありません。
さらに、メディア構築は初期コストだけでなく、運用面のランニング費用が発生するため、これらを加味した中長期的な計画が必要です。
いつまでに何件のリードが見込めて、それまでに十分なコストがかけられるかをあらかじめ試算しておくことで、オウンドメディアの費用対効果を判断できます。

②採用強化 / 社内向けブランディング目的
採用強化を目的とする場合、現状の採用コストと比較して、オウンドメディアの費用対効果を算出します。
中間指標としては、リーチ数、エントリー数、面談数、内定率、入社率が挙げられます。
オウンドメディアで社内の雰囲気、先輩のインタビューなど、リアルな現場を伝えることで、外部の求人サイトに比べ内定後の入社率の向上、入社後の早期退職率の減少がメリットです。
また、急速に社員数が増え規模拡大中の会社だと社内にどういった人がいるのかという会社の今を発信することで社内向けブランディングにも活用できます。

③商品サービスの認知向上目的
サービスやブランド自体の認知拡大・ブランディング目的としてオウンドメディアを運用されるケースでは、費用対効果の算出がやや難しくなります。
何を指標に「認知拡大できたか」「ブランディングできたか」を図るのか難しいためです。
KPIとして、訪問数やリピート率などを設定すると数値化できるでしょう。
認知拡大やブランディングと言っても、最終的には事業の売上に貢献することが目的のため、売上との関連性で考えるのがオススメです。

④既存顧客のロイヤルティ向上目的
既存顧客に対しても、自社の製品やサービスの背後にある考え方などを発信することで、より強い関係を築くことができます。
最近ではSDGsなど企業取り組みに共感して商品を買う消費者も増えています。
長期間にわたってファンになってもらい、顧客1人あたりのLTVを向上させていくことが期待できます。

⑤オウンドメディア自身でのマネタイズ目的
オウンドメディアはマネタイズ目的の商業メディアとは違います。最初からマネタイズ目的でオウンドメディアを運用するのではなく、お役立ちコンテンツを継続配信した結果、マネタイズがついてきたという流れになります。自社の商品サービスに興味関心がある方で実際に購入してみたい、使ってみたいと考えているユーザーを集客することが大切です。角度が高い見込み客を集めるためには、具体的な戦術として「キーワード設計」や「コンテンツSEO」などが挙げられます。キーワードを「比較・検討フェーズ」に定め、検索上位を目指します。その際に、市場リサーチをおこなった上で、狙うべきキーワードと、狙わないキーワードを明確に選定することがポイントです。
オウンドメディアで直接収益化する方法は大きく分けて4つあります。
・SSP(Supply-Side Platform)
SSPとは、メディアで集めたトラフィックに広告枠を販売することで収益化する方法です。収益性の高い広告を自動で配信してくれるため、運用工数を抑えられるのが魅力です。
・インフィード広告
インフィード広告とは、自社メディアのコンテンツとコンテンツの間などに広告を表示させる方法です。SSPに比べて平均クリック単価は安い傾向にあるものの、ユーザーがコンテンツを読む妨げにならずに、自然な形で表示できるメリットがあります。
・アフィリエイト広告(成果報酬型広告)
アフィリエイト広告とは、ASPと呼ばれる広告を取りまとめるプロバイダに登録することで利用できます。メディアで紹介している他社の商材を、ユーザーが購入することで収益が発生します。
・記事広告(タイアップ広告)
記事広告とは、企業や商材のPRを目的としたコンテンツを制作し、コンテンツのPV数を保証することで、広告主から直接収益を得る方法です。1PVあたり約50〜100円が相場となっております。

5:オウンドメディアを企業が活用する際は戦略と継続が重要

コロナ禍で来店頻度が減る中でオウンドメディアの需要が増えています。オウンドメディアを構築、運用するためには中長期視点での「戦略と継続」が大事です。
運営において費用がある程度かかることを理解し、運営体制に投資をし、そのメディアの理念や筋の通った考え方をしっかりアピールできるように地盤をかためましょう。また、事前に自社の強みや勝てるポイントを入念に研究し、テーマを選ぶことで着実にファンが増えていき途中で頓挫しにくく成功に繋がりやすいでしょう。
認知やファン化(リピート化)などそれぞれのフェーズに合わせて施策を考える必要があります。弊社でもオウンドメディア構築実績が豊富にありますので何かお役に立てれば幸いです。

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