よく、クライアントから「グローバル展開を目指したい」「国内は市場が飽和状態だから海外シェアを高めたい」といった声をお伺いします。

海外展開を実施し、顧客を獲得するために、コーポレートサイトでもグローバル化に対応しなければならなりません。その中のファーストステップとしてサイトを現地の言語に対応させるということが挙げられます。このように現地の言葉に対応するサイトは通常、多言語サイトと言われます。
本記事では、グローバル展開を考える方に、多言語サイトを構築するための基礎知識とツールをご紹介します!

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目次
1:多言語サイトとは
2:多言語サイトのイメージと企業例
3:利用可能なツールの比較
4:多言語サイト構築の際の注意点
-海外検索エンジン対応
-サイトのローカル化
-機械翻訳があっても必ず内容をチェックする
まとめ
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1:多言語サイトとは

多言語サイトとは、同一または類似の内容を複数の言語に翻訳したサイトになります。
その目的は外国人への情報伝達にあります。
サイト自体は世界どこからでもアクセスできる可能性がある一方で、表示言語は自国のもののみ…というものもありますが、多言語サイトの需要は年々ニーズが高まっており、その具体的な理由としてあげられるのが、「訪日外国人の増加」「越境EC規模の拡大」「在日外国人と外資系企業数の増加」「日本人口の減少」の4つになります。

上記の理由は、企業の短期的、長期的な売り上げに繋がる施策になり、コロナが収束後には、多言語サイトはさらなる成長が期待されます。
つまり、今後多言語サイトは企業にとって欠かせない有効なツールといえます。

2:多言語サイトのイメージと企業例

より分かりやすく多言語サイトを理解するために、
現在公開している多言語サイトの具体例2つを紹介します!

例1.温泉旅館「山城屋」

一つ目は、地域インバウンドの成功者の温泉旅館「山城屋」を紹介します。このサイトはデザインを変えずに、複数の言語での表示をします。地方の旅館の経営難問題に直面する「山城屋」は、外国留学生を採用し、自社のサイトを多言語化しました。ホームページにアクセスすると、一番上に言語の選択ボタンがでています。選択をすると、ページの言語がほぼすべて変わります。情報収集や予約など、顧客の不安を安心感に変えることができます。

▼日本語表示のホームページ

▼英語表示のホームページ

▼言語選択画面

 

「山城屋」HP:https://e-yamashiroya.jp/ 

例2.サッポロビール

もう一つは、異なる言語を選んだらサイトのデザインも変わる例です。ここで、サッポロビールを例として挙げます。日本語のページでは、細かくお知らせや広告を表示することに対して、英語のページではブランドイメージの宣伝をメインとしています。言語の変更により、サイトのデザインも変わっていきます。

▼サッポロビール日本語ホームページ

▼サッポロビール英語ホームページ 

サッポロビールHP:https://www.sapporobeer.jp/  

3:利用可能なツールの比較

ここで、4つの多言語の翻訳サービスを挙げ、それぞれのコストと特徴を比較すると下の表の通りになります。

WOVN.ioshutto翻訳はサイトの自動翻訳機能の備えており、タグを埋め込むことで実装出来るサービスになります。
また、WOVN.ioは、iOS や Android のアプリの多言語化サービスも提供しております。

自動翻訳であれば、わざわざ海外のページを作成する必要がないのですが、その分ランニングコストがかかります。上記2サイトは月額の費用+重量課金のシステムを採用しており、1ページのLP展開などの場合にはSpokeなどの文字単価のみのサービスも便利です。

最後、ECサイトを運営している方にお勧めなのはWorldShopping BIZです。
このツールでは購買から配達まで一連の多言語対応ができます。
各国の言語だけでなく通貨にも対応しており、海外配送代行、伝票発行などのサービスも付随して契約することが可能です。

4:多言語サイト構築の際の注意点

多言語サイトを構築する際の注意点は3つあります。

海外検索エンジン対応

Googleに正しく認識してもらうためには、1つの言語に対して1つのURLを設定することが必要です。
外国語ページのURLの形を簡単に説明すると3つがあります。

・国別ドメイン(ccTLD)を使用する
 例:http://example.fr

・サブドメインを使用する
 例:http://en.example.com

・サブディレクトリを使用するおすすめ
 例:http://example.com/en

区別の詳細は下記のGoogleウェブマスター向け公式ブログを参照してください。
https://webmaster-ja.googleblog.com/2012/02/blog-post_24.html

また、近年中国に進出する企業も多いと思いますが、中国ではGoogle検索エンジンが流行していないため、ローカルの検索エンジンのSEO対策を改めて設置する必要があります。

サイトのローカル化

サイトをローカル化するとなると、デザイン、慣習、法律まで含めることが大事です。

まず、デザインをローカル化する必要があるかどうかを確認しましょう。多言語サイトの目的はインバウンド需要を取り込めること(海外→日本)か、またはビジネスチャンスを拡大する(日本→海外)かを最初に判断します。インバウンド需要を取り込める場合、第2章の企業例の温泉旅館「山城屋」をイメージします。日本の特徴を表すために、言語が変わっても、サイト自体のデザインをそのまま維持し、言葉だけ変更します。一方でビジネスチャンスの拡大を目的としてる場合は、サッポロビールの多言語サイトのように、デザインを変更して、強調する内容を国ごとに変化させます。

そして、サイトをグローバルに展開する場合、各国の法律や慣習についても考慮する必要があります。最近注目の話題として、EU圏の「一般データ保護規則(GDPR)」があります。また、中国やロシアなどの国家では、検閲やサーバーの使用条件などについて独自のIT規制を踏まえたサイト構築が必要です。

自動翻訳があっても必ず内容をチェックする

現在、多言語サイトを作成するために、沢山の便利なツールがあります。その中で、自動翻訳は基本機能としての場合が多いです。しかし、自動翻訳に全てを頼り、翻訳できたサイトの内容を確認せず公開するのは、サイトのイメージダウンのリスクがあります。なぜかというと、自動翻訳により、専用名詞やローカルの表現が対応できないことが多いからです。
また、言語の変化によって文字の長さも変わるため、従来のデザインを崩す可能性があります。
そこで、便利な機械翻訳を使ってから、もう一度自ら内容をチェックして調整する必要があります。

 

まとめ

グローバル展開第一ステップの多言語サイト構築の紹介は以上となります。多言語サイトの作成ににおいて、言語対応だけではなく、デザインと法律、または検索エンジンの対応まで考慮しなければなりません。さらに、ツールを利用するか、手動でページを作成するか、グローバル展開の目的に応じて適した作成方法を選び、多言語サイトを作りましょう。

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