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COTOPICS コトピックス

vol.82014年12月号

きょうの架け橋

対談:能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖 × 当社代表取締役 川口聡太(2/3)

心打つ、小鼓を打つ
その一道に生きる

能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖 × 当社代表取締役 川口聡太

川口「小鼓をお仕事にしようと思われたのはいつごろですか?」
曽和「僕は一家揃って小鼓の家なので、当たり前のようになるものだと思っていました」
川口「嫌になったことは一度もなかったんですか?」
曽和「ないんです。稀に見る、小鼓が好きでしゃあない人間なんです。厳しいお稽古で同世代はみんな、反抗期で一度は嫌になったり、大人になって違う仕事についた人もおりますし…。努力して上手にならなければお仕事いただけませんし、舞台に立てませんから、厳しい世界ですよね。プロとして、何があっても舞台に穴を開けてはならないというプレッシャーも日々ありますし。それでも小鼓をやっていくためには、一道しかいらないというのが私らの信念です。初代の鼓堂もそのために家業(※2)をかえて芸道に専念しました。別のお仕事をして、鼓もしていたらハングリー精神もなくなってしまうと思うんですよ。自分を追い込んで、舞台に上がり、想いを伝えることが僕らの仕事やと思てます。そのために、一生かかって勉強するんです。

能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖 × 当社代表取締役 川口聡太

ただ、僕はおじいちゃんに入門してここまできたので、温室ビニール栽培なんですよ(笑)甘くなれ~大きくなれ~って、上手に褒めて育ててもらいました。今めちゃめちゃジューシーで美味な時期やと思うんですけど、これから旨みを増して、枯れていく良さを学んで行きたいと思っています。苔むした大樹にひと房花を咲かせてるような、おじいちゃんみたいにね。41歳になって、その折り返し地点に来ていると思います。来年、おじいちゃんのお誕生日会(※3)で初代と同じ『鼓堂』へ改名するのも、曽和五代目としての一つの決意です。今までの僕は遠くの人も近くの人も、たくさんの人へ間口を広げてきました。真面目にお話するだけやなくて、1分でも楽しい、面白そう、と思ってもらえたらええなと思って。それがきっかけで僕の小鼓を聞きたいと思ってくれたら、必ずお能はついてきますし、能楽堂へお越しいただくきっかけになる。その場限りでなく、必ず次に繋がるよう想いを伝えていきたいと思っています」
川口「折り返したあとの目標は何かお持ちなんですか?」
曽和「周りの人に小鼓の名人や、て言うてもらえるような人になりたいですね。あの人はええ音出さはる、そこにいはるだけでいいって言ってもらえるようになれたら嬉しい。囃子方の仕事は、屏風のようであれと言われます。シテ方を引き立てる、見えているのに見えない存在として囃し立てる。その僕らの息遣いや心は、シテを通してお客様に届く。想いをこめて美しく鼓を打つことで、お客様が心地いいと思ってもらえる音を届けられたらええなと僕は思っています。
それから、おじいちゃんと健康でいること。元気なうちに、約200年前から受け継がれる曽和の芸事を継いでいく道すじをきちんと見せたいと思てます。改名も、初代の心に返るという道しるべの一つなんです 」

(※2)家業…曽和家は代々、千本一条で味噌醤油の問屋を営んでいたが、幸流の糟谷彦三郎師より芸時一切を引き継いだ。

(※3)おじいちゃんのお誕生日会・・・2015年4月27日(月)、京都観世会館にて行われる「おじいちゃん 人間国宝曽和博朗90歳お誕生日会」のこと。
詳しくは曽和尚靖オフィシャルサイト「プチ・鼓堂」にて掲載。

http://www.p-kodou.com/

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