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  3. 2014年12月号【対談】能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖×当社代表取締役 川口聡太(1/3)

2014年12月号

きょうの架け橋~今と未来を生きる京文化~

対談:能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖 × 当社代表取締役 川口聡太(1/3)

能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖 × 当社代表取締役 川口聡太
曽和 尚靖
能楽 幸流 小鼓方
1973年生まれ。古来より芸事が上達すると言われる、6歳の6月6日から小鼓の稽古を始め、10歳の時「小鍛冶」で初舞台を踏む。祖父・博朗(人間国宝)、父・正博(重要無形文化財保持者)に師事。重要無形文化財能楽(総合指定)保持者。能楽を広く知ってもらうため、マルチな活躍を見せる若手奏者。平成27年4月27日には「おじいちゃん90歳お誕生日会」を企画。また同日、自らは「鼓堂」へ改名披露予定。

このコーナーでは、京都の伝統文化を担う方々へのインタビュー特集をお届けいたします。文化と人々を繋ぐため、後世へ残していくために何を考え、感じ、活動されているのかをお伝えしていきます。

今回ご登場いただくのは、能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖氏と、当社代表 川口聡太の対談をお送りいたします。

緑から黄色、赤へと葉先から秋のグラデーションに彩られはじめた11月初頭。自宅と稽古場を兼ねる染春園で、曽和氏と川口の対談が始まった。

日常に息づく和と能楽

能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖 × 当社代表取締役 川口聡太

川口「いつもおしゃれに着物を着こなされていますよね。洋服でお見かけすることが珍しい気がします」
曽和氏(以下、曽和)「僕、日本全国どこへ行くにもほぼ着物なんです。おじいちゃんが着物しか着ないので、お下がりが多いっていうのもあるんですけど、舞台が終わったあと着替えている暇がないんですよ。おじいちゃんはさっさと帰ろうとするし、荷物も減らしたいし」
川口「なるほど、それで自然と着られるようになったんですね」
曽和「そうですね、しかも着物でいるだけで京都らしさだったり、能楽師小鼓方という仕事やと一目でわかってもらえるので手っ取り早いですわ。けど、きっとご近所では『あの人いつも着物着てはるけど、何屋さんやろ?』って思われてるやろし、四国に出張に行ったら坂本龍馬とか、夏目漱石の『坊ちゃん』のファンがコスプレしてると思われるんですけどね(笑)。ブリッジさんも、祇園さんの日に浴衣着てお仕事するイベントしてはるでしょう?」
川口「ご存知だったんですね。ありがとうございます」
曽和「着物って日常生活から遠いものになってしもてるから、すばらしい取り組みやと思うんですよ。でもやっぱりその日だけじゃないですか。僕が日常的に着てることで、京都っぽさや和の存在を、特別なものでなく日常的な嗜みとして発信していけたらと思てます」
川口「お能も昔は武家の嗜みの一つですもんね」

能楽 幸流 小鼓方 曽和尚靖 × 当社代表取締役 川口聡太

曽和「そうです、もともとは神様に捧げるお祭りの儀式なんですが、時代を経て教養の一つになったんです。650年続く芸能ですから、日本語の中には能由来の言葉がたくさんあるんですよ」
川口「ほお、例えば?」
曽和「『とことんやる』は、シテ方の足音から。鼓の音(※1)からできたのは、『乙な味』『舌鼓』、それからタンポポも」
川口「えっ、タンポポもなんですか!」
曽和「鼓の形状が花やがくの部分に見えたので『つづみぐさ』と昔は言ったそうですよ。そこから鼓の「タン」「ポ」という音が連想されてタンポポになったと聞いています」
川口「こんなに日本語の中に浸透しているとは知りませんでした。すごいですね」
曽和「能は650年、能楽師が人生を捧げて続けてきたものですからね。小鼓方というと、歌舞伎とか、他の舞台でも打つと思われてる方もいらっしゃるんですが、僕はお能の専門職。能と狂言の舞台でしか打たない仕事がここにある。お能のために生きているから能楽師と言うんです」
川口「他の舞台で打つというのは、基本的にはやってはいけないものなんですか?」
曽和「お能の世界は家元制度に守られていて、職分という位をいただいて務めます。能を普及させるため、小鼓の腕を磨いて極めるために僕も別の舞台に参加したことはありますが、例えば自分の生活のためだけに能を務めるのは御法度です。だから僕、他業種の方とお名刺交換するようになったのつい最近なんですよ。『小鼓の曽和です』て言うたら通じる世界で生きてるので」
川口「他業種の方と交流されるようになったのは、何かきっかけがあったのですか?」
曽和「よその人に、もっと能を見ていただくため、能楽堂のことを知ってほしいからです。それが今の能楽師である僕のお仕事ですから」

(※1)鼓の音…手附と呼ばれる楽譜の役割を果たすものでは、「チ」「タ」「プ」「ポ」「ツ」の5つで音の高さや大きさを表している。

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