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  3. 2016年10月号【対談】株式会社三才 斉藤上太郎×当社代表取締役 川口聡太(1/3)

2016年10月号

きょうの架け橋~今と未来を生きる京文化~

対談:株式会社三才 斉藤上太郎× 当社代表取締役 川口聡太(1/3)

株式会社三才 斉藤上太郎× 当社代表取締役 川口聡太
斉藤上太郎
27歳でデビュー以来、現代空間にマッチするファッションとしてのキモノを追求する新進気鋭の着物デザイナー。「和を楽しむライフスタイル」を提唱し、プロダクトやインテリアまで幅広く手がける。

このコーナーでは、京都の伝統文化を担う方々へのインタビュー特集をお届けいたします。文化と人々を繋ぐため、後世へ残していくために何を考え、感じ、活動されているのかをお伝えしていきます。

今回ご登場いただくのは、株式会社三才の着物デザイナー・斉藤上太郎氏と、当社代表・川口聡太の対談をお送りいたします。

7月下旬、3代にわたり受け継がれる着物創作の工房「三才」にて斉藤氏と川口の対談が行われた。

着物業界で『スタイルを発信したい』という想い。

株式会社三才 斉藤上太郎× 当社代表取締役 川口聡太

川口「斉藤さんは、お祖父様が染色作家の斉藤才三郎氏、お父様が現代キモノ作家の三才氏というまさに着物界のサラブレッドなわけですが、これまで着物業界以外の道を考えたことはなかったのですか?」
斉藤氏(以下、斉藤)「あまりなかったですね。でも、僕は20歳で会社に入ったのですが、営業や納品に行くとお客さんはだいたい40歳すぎでしょう?『こんなおじさんに僕が作りたい着物なんかわかるはずがない!』なんてことは思っていましたね(笑)。なんだか斜に構えていて。当時は着物業界で直営店というのはタブーで、もともと呉服店だった高島屋、大丸、伊勢丹などの小売屋さんが流通では強く、川上に行くほど力や影響力がなかったんです。個性的なものを提案してもその言葉は販売の現場までなかなか届かなくて…。それでは面白くないですよね。」
川口「20歳ですでにやりたいことやヴィジョンがあったんですか?」
斉藤「そうですね。当時は洋服がやりたくて縫製工場を紹介してもらって独学でつくりました。着物とは生地からしてまったくちがうんですけど、厚かましく生地屋さんにいりびたって…。暇やったんでしょうね(笑)。独学でしたけど、コレクションショーもやったんですよ。」
川口「ではかなり本格的に。」
斉藤「ええ。そうなんです。バブル崩壊前くらいの、27歳くらいまでかな。ものすごい儲かっていたわけでもないけど、縫製工場さんにもついてきてもらってなんとかやってましたね。でも、ちょうどバブル崩壊の時期に、一緒にやっていた関西の若手デザイナーが東京に行ったり、直営店を構えたり、僕らも次のステップを考えるっていう岐路があったんです。そんなときに着物業界の偉い人に呼び出されて、『二足のわらじを履くのをやめろ』って言われて洋服はやめました。直接お世話になった人というわけでもないので反発する気持ちもありましたけど、ちょうど岐路でしたし、表向きには素直にいうことを聞いて。」
川口「心のどこかで最終的に『着物でいく』という想いはあったんですか?」
斉藤「それはもちろん。着物が嫌なわけじゃないし、どこかでやるんだろうなと思ってました。それから『斉藤上太郎の着物』として発表する機会をいただいたんですが、自分の本当に作りたいものは扱い方も難しく、そこまで伝わらないだろうというのと、斉藤三才の息子として売れるものを作るのがいいという気持ちがあって、いわば売れ線を狙ってつくりました。でも発表してみたら、評判は良くないんですよね。自分を押し殺して万人に受けるようにつくったはずなのに、なんでなんだって。」
川口「何がダメだったんですか?」
斉藤「斜に構えてどうせわからんやろうって思ってた人たちは、やっぱりプロで、わかってるんですよ。わかってないのは僕の方(笑)。自分を押し殺してるから楽しくない、評判が悪くてさらにおもしろくない。こんなつまらないことないですよね。それでプチッと切れちゃって。第二弾ではやりたいようにやったんです。生地もそれまではメーカーさんに言われたとおりにしてたんですが、自分で一から作ったり別注したり。」
川口「ふっきれたわけですね。」
斉藤「そうそう。やりたいようにやると展示会でも饒舌になって、いろんな人から『こんなんええねぇ。親父さんとはちがうね。』って言ってもらえたんです。相手がおじさんなんじゃなくて、自分が若かったんだなと非常に反省しましたね。そこからますます着物を掘り下げるようになりました。」

川口「斉藤さんが当時やりたかったことってどんなことなんですか?」
斉藤「色柄がどうとかよりもスタイルを発信したいと思ってました。職人の世界では、綺麗に描いたりムラなく染め上げることがいいとされてきましたが、技術的にいくらすごくても、着物は写実的であればあるほど田舎臭くなるんです。商品の魅力と技術の高さは必ずしもイコールではなくなってきた時代でしたね。」
川口「現代に合わせて新しくした?」
斉藤「当時は着物を着る人も多かったし、作家さんもたくさんいたので、変わった着物は昔のほうがたくさんあって売れていたんです。でも今は、アルマーニのスーツより、ドルガバのワンピースよりこっちの方がかっこいいって思うくらいのレベルじゃないと選ばれないですよね。着物は伝統的だけど、都会の人は古臭いものは着たくないじゃないですか。」
川口「確かに、今は着物を着なければいけないシーンはそれほどありませんから、『かっこいいから着たい』という動機がないと選択しませんよね。」

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