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2013年12月号

きょうの架け橋~今と未来を生きる京文化~

2013年12月号【対談】観世流能楽師 橋本忠樹×当社代表取締役 川口聡太(3/3)

人を大切に思うあたたかさが能

観世流能楽師 橋本忠樹 × 当社代表取締役 川口聡太

川口「次世代を担う子供達へのお稽古にも積極的ですよね。どのように能を受け止めてほしい、京都を感じて欲しいと考えながらお稽古されていますか?」
橋本「今文化庁の事業で小中学校へ能のお稽古をしに行っているんですが、始める前に必ず話していることがあります。それは『能って何ぞや?』ということ。ユネスコの無形文化遺産に世界の中でも一番に能が登録されたのは、ただほかの国にはないほど古いからじゃないんだって。紙も墨も高級品で手に入らない中、絶えないように、形を変えないように師匠が口で教え、弟子が覚えて大切に守り続けた人のあたたかさがあるから世界中の人がすごいって言うんだよ、と。日本のおもてなしという言葉がオリンピック招致で注目されましたがこれと同じです。相手のことをとても大切に思うあたたかさを世界の人は日本のすごいところだと言ってくれていて、そのあたたかさがつまり能なんだと教えています。『650年続いてきた能のバトンを今日みんなに渡すから、このバトンを次の世代に伝えてね』と話してからお稽古をします」
川口「私もおもてなしの精神を、仕事を通じてお客様に感じていただきたいと常々思うんです。私たちのサービスは形をもたないし京都らしさを出すことも難しいけれど、サービスに込めたおもてなしの精神、そこに息づく京都を感じて頂ければ、それが一つの京都発信になれるのではないかと。ただ、そうしてあたたかさや心は変わらずに伝えていけると私も思うのですが、本当にいっさい能の形は変わっていないのですか?」

観世流能楽師 橋本忠樹 × 当社代表取締役 川口聡太

橋本「はい。時代に合わせて新しい演出は後世当然生まれてくるんですが、能の場合は『特殊演出』と呼ばれ、必ず番組表(プログラム)に小さくト書きが入るんです。だからそもそもの形は絶対に崩さないようにしています」
川口「650年も変わらないなんて信じられないくらいです。心と型を後世に伝えていく中で、どこか変化したほうがいいと思われる部分はありますか?」
橋本「正直、もう変えようがないんじゃないかと。今現在できる新しいことっていうのはかなりやり尽くしていると思うんです。ホールなど、能楽堂以外での演能とか小学校でのお稽古とか。それから、能経験者のお孫さんがお稽古に来られるというのも増えているんです。だからこれから次世代が育ってくるのではと期待しています。無料開放や学校でのお稽古で、今までと違って能に触れたという人が増えました。彼らが大人になった時、650年変わらず伝わってきた能を能楽堂へ観に来てくれることを願って、僕らの世代で土壌作りをしなければと思っています」

二人が背にする松が描かれた鏡板と舞台板は、太平洋戦争の最中に丸太町通にあった旧観世能楽堂が取り壊される際に運び出したものだという。長い間、舞う人見る人を見守ってきた木目が、飴色にあたたかく輝いた。

取材・文 鈴木 茉耶
撮影 千原 愛

能楽師橋本忠樹

能楽師橋本忠樹 ホームページ http://www.hashimoto-tadaki.jp/
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